2011 Fiscal Year Annual Research Report
衛星タグを用いたソデイカの分布と回遊パターンの解明
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22580193
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
J・R Bower 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (10312406)
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Keywords | 生態 / 行動 / 回遊 / ソデイカ / イカ類 / 日本海 |
Research Abstract |
平成23年度の研究では、日本海西部において、衛星タグを用いてソデイカの水平移動と鉛直移動の解明を目的とした。衛星タグは平成23年11月に兵庫県美方郡香美町香住沖で樽流し立縄漁法によって漁獲された外套背長40cm以上の6個体に装着し、うち4個体から衛星通信により使用可能なデータを受信することに成功、このうち2個体から最長で1週間程度の行動データの取得に成功した。データを受信することができなかった2個体については、経験水温から捕食されたと考えられる。 得られたデータについては予備解析を行い、以下の解析結果を得た。 1)周辺海域の流れの方向に移動したことから、海流に従って低コストな水平移動をしたと考えられる。 2)100m以浅で日周鉛直移動をし、経験水温が15℃以上であったことから、鉛直移動は水温に制限される可能性が考えられた。しかし、水温に制限されない知見もあり、現段階では断定できない。 2つの個体は、日周鉛直移動をしているので、衛星タグの装着により、生体機能を脅かす重大なダメージは与えなかったと考えられる。しかし、全個体が設定された装着期間を全うせずに衛星タグが離脱したので、本種に対する衛星タグの負荷は大きいと思われる。特に、衛星タグを外套膜へ装着した場合、衛星タグの取り付け方向がイカの進行方向に対して垂直になっていたことは、水中で大きな負荷を与えたものと考えられる。 本研究の成果は、2012年3月に平成24年度日本水産学会春季大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、衛星タグを用いることによって短期間で本種の行動データの取得に成功し、本種の行動の解明に近づくことができたと考えられる。衛星タグ装着の課題が見つかったものの、本種において衛星タグの装着は有効な手法であると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成24年度には、取得されたデータの解析を行う。解析結果は10月のPICES(北太平洋海洋科学委員会)年次総会において発表する予定である。さらに、離脱した衛星タグは現在も漂流している状態であり、もし回収することができた場合はより詳細な分析を行うことができるため、回収を目指す。
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