2010 Fiscal Year Annual Research Report
シロザケ増殖事業の安定同位体レトロスペクティブ解析による再評価
Project/Area Number |
22580209
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林崎 健一 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (80208636)
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Keywords | シロザケ / 鱗 / 水温 / 餌 / 安定同位体 / 環境変動 |
Research Abstract |
わが国のサケふ化放流事業の本格的な立ち上がりから30年近くが経過した。この間に資源の急速な増加、高位安定期、減少期といったサイクルを経験した。ここで起こった資源増加という量的変化が小型化・高齢化といった質的変化を、シロザケ自身の密度効果により引き起こしたと考えられている。この資源高密度化はレジームシフトにより、環太平洋規模のサケ生残率好転よるとされている。ところが、この高水準期にわが国のシロザケは回帰数の急激な落ち込みを2度経験しているが,その原因は不明である。安定同位体分析により、海洋生活期中の生活史を過去に振り返って検討することで、現在のシロザケ不漁の原因究明の一助としようというのが本研究である。海洋生活期の海水温を鱗の酸素安定同位体比測定により推定することを試みた。リン酸添加により生じる炭酸塩由来の二酸化炭素は極めて微量であったが,コールドトラップによる濃縮を行うことで測定が可能であった。さらに,酸素安定同位体比を水温に変換する変換式を求めるため,シロザケ卵仔稚魚を一定水温で飼育することを試みた。しかしながら,東日本大震災により被災し飼育実験を続行することが不可能となった。
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