2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22580212
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
田畑 満生 帝京科学大学, こども学部, 学部長・教授 (70041853)
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Keywords | ニジマス / イワナ / 魚類動物福祉 / 自発摂餌 / 飼育環境 / 混養 |
Research Abstract |
本研究は、アニマルウェルフェアの考え方を養魚産業に導入するための基礎研究である。飼育環境下における養魚が発する生理学的・行動学的な要求をアニマルウェルフェア五原則に基づいて評価し、総合的な飼育技術の質的向上を目指すことが目的である。本年度はアニマルウェルフェア五原則の中の損傷の回避に関するニジマスとイワナを用いた実験を行った。 飼育水槽中の養魚の鰭や体表の損傷は、しばしば優占魚からの攻撃や摂餌、遊泳時の魚同士の擦傷などに起因することが多い。これらは感染・病気に直結しやすいためアニマルウェルフェア養魚からみれば低福祉の指標となる。そこで、飼育期間中の攻撃や損傷について調べた。また、本実験では自発摂餌に適さないと考えられている魚種への自発摂餌の適応をも目的としているため、自発摂餌飼育が容易なニジマスと、比較的難しいとされているイワナの2魚種の混養を組入れた実験群(ニジマス群3水槽、イワナ群3水槽、ニジマスとイワナの混養群3水槽)を用いた。 その結果、自発摂餌のスイッチ起動回数、摂餌量、体重増加は、ニジマス群>混養群>イワナ群の順であった。特に混養群のイワナは、イワナ単独群に比して顕著な体重増加が認められ、ニジマスとの混養は明らかにメリットとなることが分かった。その一方で、混養群のイワナはニジマスに対する攻撃の多いことが明らかになった。混養群ではイワナの攻撃性が主因と考えられる鰭の損傷が多くなる傾向が認められた。以上の結果から、単独で自発摂餌が不得手な魚種も自発摂餌に適した魚種と混養することによって成長は期待できるが、攻撃に起因する損傷といったリスクも考慮する必要があるため、アニマルウェルフェア養魚の観点からは、今後、魚種の混養比率に関する研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は平成22年度から24年度までの3年間の計画の2年目である。実験は当初計画に沿ってほぼ順調に進展しその成果も得られている。研究の目的、達成度などの点から(2)と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究は3年間の実施計画の最終年度になることから、アニマルウェルフェア五原則の恐怖・苦痛の回避に関する実験を実施する。具体的には、恐怖・苦痛を評価するために、群れの中の個体および群れ全体について、正常時とストレス下での体表の明度を数値化し比較検討する。さらに、恐怖・苦痛からの回避に関する実験として、逃避場所を設置し逃避行動に関する実験を行う。いずれも自発摂餌下で、混養も組入れた実験を行う。 現在のところ、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はない。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Examining the daily feeding rhythms of amago Oncorhynchus masou masou using self-feeding systems2011
Author(s)
Flood, M.J., Noble, C., Kagaya, R., Damsgard, B., Purser, G.J. Tabata, M
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Journal Title
Aquaculture
Volume: 318
Pages: 244-247
Peer Reviewed
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