2010 Fiscal Year Annual Research Report
生物行動特性を考慮したクロマグロ沖合型養殖施設の最適デザイン
Project/Area Number |
22580214
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
高木 力 近畿大学, 農学部, 教授 (80319657)
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Keywords | クロマグロ / 養殖生簀 / 数値シミュレーション / 付着生物 / 沖合養殖 |
Research Abstract |
クロマグロの安定した養殖生産が求められている中,波浪・潮流条件の厳しい沖合域に設置可能な大型養殖施設の開発・実用化が課題となっている。本研究では厳しい波浪流動環境にも耐候性があり養成魚の行動特性を考慮した養殖施設デザインを探るため,バイオテレメトリーと網地の水中形状シミュレーション技術を活用し,その基盤技術開発を行う。初年度は海域に設置した養殖施設の力学特性を推定可能とする数値シミュレーション用計算モデルとその算定結果を可視化するためのシステムを構築し,これを用いて施設の耐候性と力学特性について評価した。クロマグロ養殖用に設計された大型養殖施設の設計図面から数値シミュレーションモデルを作成し,水中形状と各係留系部材に作用する荷重を算定した。その結果,1ktの潮流では生篭網は大きく吹かれ,その形状容積は50%に減少した。また,潮流と波浪の共・存場では波浪が生簀容積変化に与える影響は波高5m程度でも10%程度の増減にとどまり,施設没水部分の耐候性には潮流に配慮した設計が必要であることが示唆された。直径30mの円形養殖施設実機の生簀網数箇所に深度センサーを装着し,潮流変化による網地の吹かれを計測した。観測期間中30cm/sの流速を記録し,このとき最大で鉛直上方に5m程度生簀網が吹かれた。これは,数値計算結果でも同様な結果を示した。計算結果からは施設の係留系ロープは潮流の上流側で強い荷重が作用し,200kgf以上の張力となった。生簀に接続される側張りロープへの荷重はさらに大きくなり,1kt以上の流速で5000kgf以上となった。実海域では施設を長期間浸漬すると生物が多量に付着する。浸漬時間と付着生物量の関係を調べたところ,夏期では1ヶ月経過すると投影面積増加は2倍以上となった。この結果を用いて生物付着した生簀網の水中形状を数値計算により理論的に求めたところ,付着生物がない初期状態のものに比べ1ktの潮流では30%以上内部容積が減少した。
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Research Products
(7 results)