2010 Fiscal Year Annual Research Report
オボアルブミンのプロテアーゼインヒビター効果に関する研究
Project/Area Number |
22580220
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
大迫 一史 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (00452045)
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Keywords | オボアルブミン / 卵白 / プロテアーゼインヒビター |
Research Abstract |
卵白中のタンパク質のうち55%を占めるオボアルブミンは,その構造がセリンプロテアーゼインヒビターに近いことからセルピンファミリーの1種とされる。ところが,オボアルブミンは他のセルピンと異なり,ターゲットのプロテアーゼによって切断されるC末端のRCLがプロテアーゼとの複合体を形成しないためインヒビターとしての効果を有さないとされている。一方,N型(ネイティブなアルブミン)、S型(貯蔵中にN型から変化したもの)およびHS型オボアルブミン(胚発生中に作り出されるもの)のうち、HS型オボアルブミンを80℃で加熱するとトリプシンやキモトリプシンに対して阻害活性を示すようになることが近年明らかになっている。よって,本研究では,オボアルブミンのインヒビターとしての効果を確認し、発現機作の一端を明らかにしようとするものである。今年度は,内在性のプロテアーゼ活性が高いとされるホッコクアカエビを用いた。卵白はホッコクアカエビの加熱ゲル形成に高い効果を示すこと,また,エビ肉のホモジネートを用いた実験ではオボアルブミンにプロテアーゼインヒビターとしての効果が認められたことから,加熱ゲル形成時にオボアルブミンがインヒビターとしての効果を発現するものと想定し,これをエビ肉に添加して60℃加熱でのゲル形成を試みたが,加熱ゲルは形成されなかった。またSDS-PAGE上において,ミオシンヘビーチェーンは崩壊し,低分子物質になっており,加熱ゲル形成を阻害するプロテアーゼに対するインヒビター効果は認められなかった。一方で,90℃で2時間加熱した場合,無添加のエビ肉はゲルを形成しなかったが,オボアルブミンを添加したものは弱いゲルを形成した。
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