2010 Fiscal Year Annual Research Report
食中毒菌の腸管付着・侵入を抑制する水産発酵微生物および水産食品成分に関する研究
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22580221
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
久田 孝 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (00290081)
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Keywords | Listeria monocytogenes / Salmonella Typhimurium / 腸管上皮細胞Caco-2 / Lactobacillus plantarum / Leuconostoc mesenteroides / なれずし / マコンブ |
Research Abstract |
本研究では、リステリア菌Listeria monocytogenes、その他の病原菌の感染性および病原性を抑制する因子(乳酸菌および成分)を水産食品中から探索し、水産食品の新たな機能性の解明と、食品衛生に資することを目的とし、腸管細胞を用いたin vitroおよびマウス、ラットを用いるin vivoの実験で、微生物学的、生化学的手法を用いた検討を計画している。本年度は、水産発酵食品からの、酸耐性・胆汁耐性乳酸菌のスクリーニングと、病原菌の腸管上皮細胞Caco-2への付着および侵入に対する選抜乳酸菌および海藻抽出物の影響を検討した。 本研究室で保存している20株のなれずし由来乳酸菌、および今年度新たになれずしより分離した乳酸菌200株について、probioticの要件とされる酸耐性(pH2.5での生残性およびpH3.5での増殖)および胆汁耐性(0.3%胆汁培地での増殖)のスクリーニングを行い、4株のLactobacillus plantarumおよび1株のLeuconostoc mesenteroidesを選抜した。これら5株の候補菌のうち2株(L.plantarum a205, L.mesenteroides 1RM3)が未分化およ分化Caco-2細胞へのリステリア菌およびサルモネラ菌(Salmonella Typhimurium)の侵入を明確に抑制した。 日本において摂取量の多いと考えられるマコンブ葉体、およびその養殖業において未利用とされできた付着部(ガニアシ)のエタノール抽出液について同様に病原菌の細胞侵入への影響を調べた結果、抗菌性のみられない濃度でも、侵入抑制が認められた。 本年度の目的であるin vitroにおける候補菌の選抜、および海藻成分の影響に関する成果は達成された。次年度は他の海藻成分について検討を続けるとともに、マウスを用いた病原菌感染に対する影響について検討する予定である。
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