2010 Fiscal Year Annual Research Report
アニサキスアレルゲンの探索および一括検出システムの構築
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22580222
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
嶋倉 邦嘉 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (10226201)
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Keywords | Anisakis simplex / アレルゲン / 二次元電気泳動 / イムノブロッティング / I型アレルギー |
Research Abstract |
現在、アニサキスアレルゲンとしてAni s 1~12の12種がアレルゲンのデータベースに登録されている他、分子量20.0k、25.7k、30.8kおよび40.0kのタンパク質などの存在を突き止めている。このうちのAni s 1、Ani s 5、Ani s 9、20.0k、25.7、30.8kおよび40.0kタンパク質については、大腸菌によって発現させたリコンビナントタンパク質をマウスに投与してポリクローナル抗体を得た。各リコンビナントタンパク質を二次元電気泳動(2D-PAGE)に供してポリクローナル抗体との反応性を確認することにより、これら7種のアレルゲンのバンドをグル上で帰属させた。リン酸緩衝液を用いた虫体抽出液を加熱処理せずに2D-PAGEに供し、これまでに16名のアニサキス特異IgE保有者の血清を用いて2D-PAGE後のイムノブロッティングを行った。このうち11名は40.0kアレルゲン、3名はAni s 5および40.0kアレルゲン、1名はAni s 5、Ani s 9および40.0kアレルゲンにIgE陽性反応を認めた。また、16名中の約半数においてはこれらの他にも未帰属のバンドに対するIgE陽性反応を認めた。アニサキスアレルゲンの中には筋原線維タンパク質も含まれるため、リン酸緩衝液ではすべてのアレルゲンを網羅的に抽出できていない可能性があるため、抽出条件については今後検討の余地があると考える。しかし、供試した87.5%の患者血清が40.0kアレルゲンにIgE陽性反応が認められたことから、本アレルゲンが我が国のアニサキスアレルギー患者において最も重要であることが示唆された。一方、リコンビナント40.0kアレルゲンについては、これらの16名の患者血中IgEに対し、ELISAにおいて陽性反応を示すことも確認した。
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