2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚類への酸化ストレスに伴う抗酸化酵素の発現制御機構の解明-分子細胞生物学的アプローチ-
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22580224
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長富 潔 長崎大学, 大学院・水産・環境科学総合研究科, 教授 (40253702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 研治 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (10039737)
小田 達也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (60145307)
金井 欣也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (40145222)
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Keywords | 抗酸化酵素 / プロモーター / 酸化ストレス / 魚病細菌 / 細胞培養系 |
Research Abstract |
本研究では分子細胞生物学的手法を用い、ヒラメ抗酸化酵素遺伝子の制御領域の解析並びに関連する転写因子を探索すること、次いでヒラメマクロファージの細胞培養系によってEdwardsiella tarda(E.tarda)の暴露に伴う酸化ストレスに対する抗酸化酵素の発現制御機構を明らかにすることを目的とした。 本年度は、ヒラメCu,Zn-SOD及びMn-SODの翻訳領域に相当する部分の遺伝子構造が共に5個のエキソンと4個のイントロンにより構成されていることを明らかにした。哺乳類の両SODと比較すると各イントロンの挿入箇所は概ね一致していた。次いで、ヒラメ両SODの遺伝情報に基づいてプライマーを設計し、リアルタイムPCRによるSOD mRNAの定量法の条件検討を行った。現在は、両SOD遺伝子の5'-上流領域のクローニング及び構造決定を行っている。 一方、E.tarda菌体外産生物質(Extracellular product, ECP)を用いて、マクロファージ系細胞株のNO及びTNF-α産生能を調べた結果、E.tarda強毒株ECP暴露に伴うNOとTNF-α産生量はECP濃度依存的に増加することを確認した。その際、誘導型NO合成酵素(iNOS)mRNAの誘導も見られた。また、主要なECP成分(45kDaタンパク質)を自動エドマン分解法で解析た結果、45kDaタンパク質は鞭毛構成タンパク質flagellinとして同定された。更に、3種のMAPキナーゼに対する特異的インヒビターを用い細胞内シグナル伝達について検討した結果、NOとTNF-α産生はJNK経路を介する細胞内シグナル伝達によって誘導される可能性が示唆された。以上の結果より、E.tarda強毒株flagellinはマクロファージのNO及びTNF-α産生を誘導し、炎症促進に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
魚類抗酸化酵素遺伝子の転写制御領域の解析はやや遅れている状況であるが、E.tarda暴露に伴う酸化ストレスに対する抗酸化酵素の応答に関してはいくつかの新知見が得られており、全体的には概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヒラメ抗酸化酵素遺伝子の転写制御領域の解析に重点を置き、関連する転写制御因子の探索に取り組む。
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Research Products
(1 results)