2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルデヒドの可視化技術を利用した水産物の品質評価法の開発
Project/Area Number |
22580229
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
田中 竜介 独立行政法人水産大学校, 食品科学科, 准教授 (30399654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 映夫 独立行政法人水産大学校, 食品科学科, 教授 (50399648)
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Keywords | アルデヒド / 水産物 / 可視化 / 品質指標 / 薄層クロマトグラフィー / 蛍光 |
Research Abstract |
水産物の品質を評価するにあたり、アルデヒドを指標とした評価が有効である。アルデヒドの分析には様々な方法が用いられているが、本研究では蛍光標識によるアルデヒドの分析を試みた。なお、着目するアルデヒドとして水産物に多く含まれるn-3系脂肪酸の酸化によって生じる4-hydroxy-2-hexenal(HHE)に注目し、既報のdansylhydrazineなど4種の蛍光試薬を検討した結果、1,3-cyclohexane-dione(CHD)による蛍光標識による分析が最適であった。次に、蛍光標識化されたCHD-アルデヒドをHPLCによって分離する方法を検討した結果、汎用のODSカラムを利用した逆相HPLCにより分離が可能となり、HHEをはじめとして、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナールなど主要なアルデヒドの分離分析が可能となった。このHPLCの条件を参考にし、アルデヒドの可視化ならびに簡易的な分析方法を検討した結果、薄層クロマトグラフィー(TLC)の利用が有効であった。TLC法は、安価、同時に多検体の分析が可能であり、目視での判定が可能である。はじめに、TLCの固定相を検討した結果、HPLCでは逆相クロマトでの分離が最適であったが、TLC法では順相シリカゲルによる分離が最適であり、分析コストも安価となった。また、可視化の観点から、CHD-アルデヒドの励起ならびに蛍光波長はそれぞれ、385nm、450nmであることから、汎用的なUV照射ランプ(励起波長350nm)の照射によって、450nmの蛍光が確認され、無色であるアルデヒド類が蛍光標識により可視化された。本法を利用し、市販7魚種の可食部(筋肉)中のアルデヒドを分析した結果、n-3系脂肪酸を多く含むサンマ、イワシ、サバにHHEが多く検出され、目視によって確認された。また、タラには筋肉その他の組織自身にホルムアルデヒドが存在することが知られているが、本法での分析により、他魚種と比較し多くのホルムアルデヒドが含まれることが目視で確認された。以上、本法の利用により、アルデヒドの可視化が可能となり、品質評価への指標となり得ることが示唆された。
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Research Products
(1 results)