2010 Fiscal Year Annual Research Report
畜産物の加工およびプライベート・ブランド化に関する動態的研究
Project/Area Number |
22580250
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
横溝 功 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (00174863)
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Keywords | 畜産物加工 / プライベート・ブランド / 製品の差別化 / 独占的競争 / 心理的ベネフィット / 機能的ベネフィット / セレンディピティー |
Research Abstract |
今年度は、畜産物加工やプライベート・ブランド化(以下、PB化)に取り組んでいる酪農経営2戸、養豚経営1戸、採卵鶏経営2戸、およびPB化に貢献しているコントラクター経営、中央畜産会のスタッフ、チーズ加工の技術者へのヒアリング調査や資料収集を行った。その結果、以下の知見を得た。 加工製品・PB化を通じて、BtoCのような顔の見える取引では、当然のことながら、生産者に製品の品質向上を目指すようなインセンティブが働くことになる。このことは、消費者にとってもメリットになる。そして、加工製品・PB化の開発能力では、技術習得のための情報収集努力が、特に重要な要因であることを明らかにした。その情報収集努力の結果として、的確な技術へのアクセスができている。すなわち、偶然に技術習得ができたわけではないのである。 さて、実際の経営計画・実行では、高邁な経営理念の下に、製品差別化ができるようなハード面への投資、ソフト面の充実が計画され、実施されている。また、既存の家畜飼養部門を活かすような計画・実行であり、部門間の調整も図られている。従来の労働制約の下で、加工に特化する場合には、家畜飼養頭羽数を減らすことも、重要な戦略になりうることを明らかにした。 マーケティング面では、店舗販売は、販売の予測が難しいところに課題がある。それを補うものとして、注文販売がある。一定の注文販売が確保されれば、加工施設の稼働率を上げることができる。しかし、納品価格が、店舗価格よりもかなり低い価格に設定された場合、安い製品が市中に出回り、店舗販売に悪影響をもたらす可能性もある。また、注文販売にあまりにも依存しすぎると、納品価格の交渉で立場が弱くなったり、納品がストップした場合に、致命的なダメージを被ったりすることになる。従って、店舗販売と注文販売のバランスを考慮することが肝要であることも明らかにした。
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