2012 Fiscal Year Annual Research Report
食料輸出国による農業保護の総合的評価と国際市場の攪乱要因に関する計量経済学的研究
Project/Area Number |
22580265
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 弘明 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (70329019)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 農産物貿易 / 食料輸出国 / 農業保護政策 |
Research Abstract |
穀物の国際農産物需給という観点から、2012年になりコメの国際市場を攪乱する新たな要因としてクローズアップされるタイの農業支持政策の転換過程を調査した。①ここ10数年の動きをやや長期的な視点から見ると、政権交代や頻発する政治的混乱にもかかわらず、タイの農業政策がほぼ一貫して生産者保護的な性格を強めつつある点を確認し、②2011年8月の再度の政権交代により、一段と高められた融資単価によって復活した担保融資制度のもと、政府買入となったコメが膨大な政府在庫として蓄積し、③その原資は当面農業協同組合銀行を通じた融資ではあるが、将来的には財政資金によって賄われるとみられ、④金額規模として数千億円から1兆円近くに及ぶ可能性がある、⑤高値での買入が国際価格を高騰させているとみられる一方、⑥タイ自身として、買入コストが嵩むために国際市場で販売することができない状況が同時に発生している、点を明らかにした。貧困層・農民層を支援するタイ政府のスタンスが国際市場を攪乱する様相が明らかである。研究成果は、前年度発表内容とあわせて、農林水産政策研究所から公刊した(23年度付け)。またバイオ燃料の振興策を含むアメリカによる総体としての農業保護の程度を把握する観点では、現行規制の直前5年間と2006~11年間の実績から、この間の価格上昇の2割相当がエタノール需要に起因するとみなせば、OECDの定義による生産物直接支払でみて、年当たりおよそ17億ドルから64億ドルに増加したことになる。しかしこの点に関しては、混合規制などの数量規制によって原料である農産物価格を支持する程度を定量的に捉えることの理論的な問題点がなお残されており、今後の課題とせざるを得ない。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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