2011 Fiscal Year Annual Research Report
体制移行経済における農業部門の生産効率性と生産性の決定要因に関する比較研究
Project/Area Number |
22580266
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
弦間 正彦 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90231729)
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Keywords | 農業発展 / 移行経済 / 生産性 / 生産効率性 / 比較研究 |
Research Abstract |
本研究は、中東欧諸国、東南アジア、南米の移行国の農業部門に焦点を絞り、持続可能な農業発展のために必要となる生産性、生産効率性の変化の決定要因を比較分析・理解し、その結果をもとに政策分析を行い、この地域の移行期経済が持続可能な経済成長をとげるための政策や制度に関する包括的な政策的含意の導入を図ることを目的としている。 そして、本年度は、ミクロデータを収集するために、ラオスの共同研究グループと共同で、サバナケット近郊、傾斜地、山岳地帯における家計・集落調査をパイロット的に実施した。さらに、ベトナムにおいても、ホーチミンシティのノンラム大学の研究チームと連携して、個票データの収集を行い、データベースを構築した。 初年度で明らかになった調査対象各農家における主産性、規模の経済、技術効率性、資源配分効率性の違いを、政策・制度、社会・経済的背景の違いに関連付けて理解する作業を実施した。そこでは農業政策・制度の効果、管理組織の違いによる生産効率・経営効率の違いとその違いが発生する理由を分析・考察した。これまでのところ、新規技術へのアクセスの有無、資産の大きさ、教育の水準などの差が、生産効率、経営効率の違いをもたらしてきていることが確認されている。教育、技術の普及活動、信用供与が生産効率や、経営効率の改菩のためには有用であろうことが、確認できた。一方で、時間選好に関しては、割引率が大きく、投資、消費、生産行動に関しては、短期的な視点から決断が行われていることも、確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集と分析は、計画通り進んでいることから、上記の建成度を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者はFADNに準拠したデータを、ポーランドとハンガリーでデータベース化されている農家・農場についての最新情報を入手して、パネルデータを構築し、効率性の違い以外に生産性の違いとそれをもたらす要因分析を行う。その上で、ベトナムとラオス、さらにはボーランド、ハンガリーのデータ分析から分かる政策的含意の導入を行い、プロジェクト全体の総括を行う。
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Research Products
(1 results)