2010 Fiscal Year Annual Research Report
水田魚道を含んだ広域的な水田水利システムにおける流れと魚類行動のモデリング
Project/Area Number |
22580276
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤原 正幸 愛媛大学, 農学部, 教授 (40253322)
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Keywords | 水田魚道 / 数値流体力学 / 水田水利システム |
Research Abstract |
本研究では,水田魚道を組み込んだ水田水利システム(河川-頭首工-農業用水路-水田-水田魚道-排水路-河川)の一連の水理構造とそこでの魚類の行動を予測する数値モデルの開発を目的としている. 本年度(平成22年度)は,水理構造解明を目的として,流況シミュレーションモデルを開発した.作成した計算領域は,幅30mの河川に頭首工を築き,その上流に取水口を設けて幅1mの農業用水路を造り,取り入れた水を0.3ha(100m×30m)の水田に導き,水田から幅30cmの水田魚道で排水して,排水路から河川に戻る領域である.頭首工にも魚道を設置した.頭首工および水田に設置した魚道形式は,導流壁型とした.水田魚道および頭首工の上流側と下流側の高低差は50cmとした. 数値モデルは,Q-tree格子を用いた有限体積法で,運動方程式の移流項にはGodunov型スキームを採用している. 計算結果から,河川から排水路に入るところの最低流速は20cm/s程度であったが,水田魚道では40cm/s以上の流速となり,排水路に侵入できた魚でも水田魚道には上れない場合のあることが示された.また,水田内は水田魚道出口を1mも離れると1cm/s以下の流速となるため,水田内で孵化した仔魚も流される心配はほとんどないことが示された. これからの課題は,プールタイプなどの他の魚道形式にも適用できる三次元水理モデルを開発することである.
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