2011 Fiscal Year Annual Research Report
ピートモスによる油と重金属の吸着並びに油の生分解に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22580277
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大坪 政美 九州大学, 農学研究院, 教授 (80112316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 孝寛 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00181066)
金山 素平 九州大学, 農学研究院, 助教 (60398104)
筑紫 二郎 九州大学, 生物環境利用推進センター, 教授 (00127458)
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Keywords | ピートモス / 油吸着材 / 油汚染 / 灯油 / 重油 / カラム試験 |
Research Abstract |
ピートモスによる油の吸着保持および生分解に関する室内実験から以下のような結果を得た。 1.油の吸着保持に関しては,水中に混入した重油をピートモスにより吸着させる室内実験から,ピートモスは自重の4~5倍のA重油を,6.5倍程度のC重油を保持することがわかった。土柱法から求めた灯油の油分特性曲線によると,灯油面からあるたかさにおいて油吸着材が保持する総灯油量は,吸油・脱油課程のいずれにおいても,密詰めのピートモス(密度0.2g/cm3)が最大であった。ピートモスによる灯油の総保持量を比べると,脱油過程での保持量が吸油過程の2.5~3倍であった。このようにピートモスが高い灯油保持特性を示すのは,多孔構造と油が特異的に吸着されることに起因する。 2.ピートモスが保持する重油の生分解に関しては,粉末状ピートモスにおける25℃での重油の残留割合は,70日経過後A重油では30%,C重油では80%であり,3℃におけるA重油の残留割合は,70日経過後70%であった。一方,袋に詰めたピートモス中のA重油の残留割合は,曝気条件下で70日経過後50%まで低下した。このようにして得られたピートモスに残留する重油の減衰曲線は,Gompertzモデル曲線から導いた近似式により表わせることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で最も核心的な部分であるピートモスによる波の吸着特性と生分解に関しては,当初予想した結果を得ることができた。そしてその成果をまとめた2報の学術論文が,論文集に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,ある重要施設の貯水池の堆積物が,有機性物質,重金属,油などにより汚染されている。これを浄化するために,汚染堆積物を凌渫して地上に取りだし,それにピートモスを加えて特殊な建設機械で撹拌混合し,一定時間放置して堆積物を浄化し,浄化堆積物を再利用するというプロジェクトが進行中である。このような汚染堆積物の浄化プロセスに関して,ピートモスの有機性汚濁物質や油の浄化に対する寄与を室内実験により明らかにするとともに,現場における汚染堆積物の浄化プロセスを,有機性物質,重金属油に焦点を当てて経時的に調査する。計画の中には有機性汚濁物質は含めていなかったが,有機性汚濁物質の問題が,昨年現場で度浮上してきたので,本年度は汚染物質として有機性物質も含めることにした。
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Research Products
(2 results)