2011 Fiscal Year Annual Research Report
ため池堤体内の透水性の不均一性と浸透破壊現象に関する研究
Project/Area Number |
22580282
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
堀 俊和 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・施設工学研究領域, 上席研究員 (20414451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 栄征 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・施設工学研究領域, 研究領域長 (90373224)
羽田野 祐子 筑波大学, システム情報工学研究科, 准教授 (60323276)
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Keywords | ため池 / 透水性 / 不均一性 / 浸透破壊 / 模型実験 / 数値解析 |
Research Abstract |
1.野外に作成した大型の実験土槽(400×100×150(H)cm)を用いて、間隙流速および間隙水圧のばらつきを測定した。流速の測定孔は147点である。測定の結果、浸透開始初期には、締固め層でそれ以外の部分と比較して10倍程度の速い流速分布が確認された。一方、浸透を継続することによって、締固め層の浸透の集中が緩和されることが分かった。また、浸透の継続に伴い、土槽の上流側の透水係数が上昇し、下流側の透水性が減少していく現象が見られた。これは、土の細粒分が上流から下流に移動し、下流側の土の間隙に目詰まりが発生するためであると考えられる。このような透水性の変化により、土槽全体の浸潤線が上昇する結果となった。 2.透水性の空間分布のモデル化 大型土槽の浸透実験の水頭の計測結果から、逆解析を実施して、土槽内の透水係数を算出して、土槽の透水性の空間分布を求めた。ここでは、変水位法を用いるとともに流線理論により移動距離を求めて透水係数を算出した。計測によって求めた流速分布と比較して、解析結果はおおむね実験の浸透の状態を推定できてきることが分かった。 3.パイピングに関する遠心模型実験 カナダの遠心模型実験装置を用い、クイーンズ大学の研究者らと共同で、浸透破壊の再現試験を行った。遠心模型実験装置内にため池堤体の模型を作成し、貯水を作用させて、堤体内部の水圧および流速を測定した。実験の結果、定常浸透状態になった後も、徐々に下流側の水位が上昇し、法先の安定性が低下して、浸透による崩壊が発生した。浸透の継続とともに、細粒分の移動にともなう目詰まりと崩壊を繰り返しながら、最終的には堤体全体の崩壊につながることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期の浸透実験および遠心実験装置を用いた浸透破壊実験は、予定通り進捗し、浸透の継続に伴う堤体内の透水構造の変化とそれに伴う浸透破壊現象のメカニズムが明らかとなった。また、数値解析による透水性のモデル化についても、簡便な方法で不均一な透水性を推定できることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
大型浸透実験の計測を最終年度も継続して行い、時間的な透水構造の変化について、モデル化を行い、実験結果と比較して妥当性を検証する。また、透水性の時間的変化をため池等の貯水構造物の劣化の一要因と考え、劣化を考慮した堤体の安定性の評価手法を開発する。また、成果とりまとめ、成果発表を行う。
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Research Products
(2 results)