2011 Fiscal Year Annual Research Report
細網線維の形成機構を通した組織柔剛特性の解明と新規肉質評価指標の確立
Project/Area Number |
22580305
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
新井 克彦 東京農工大学, 農学部, 教授 (60175940)
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Keywords | 細網線維 / XII型コラーゲン / XIV型コラーゲン / 筋肉 / C2C12 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
本年度は、マウス筋芽細胞株C2Cl2は20%FBSを含むDMEMで維持・増殖させ、2%ウマ血清を含むDMEMで培養を行うことで筋分化を誘導した。マウスXII型コラーゲン遺伝子は転写開始点の上流893塩基からその下流214塩基までの1112bpをPCRにより増幅した後、pGL3-basicにサブクローニングし、これを元に欠損・変異体を作製した。これらのプラスミドをトランスフェクションした後に、筋分化に伴うルシフェラーゼ活性の変化を検討した。また、未分化並びに分化誘導後2日目のC2C12株由来核タンパク質を用いたゲルシフトアッセイにより、DNA結合蛋白質の変化を解析した。さらに、p53ファミリーの強制発現が筋分化に伴うXII型コラーゲンの転写活性化に及ぼす影響について検討した。加えて、△Np73安定発現C2C12株を持続性アスコルビン酸存在下で長期培養した際に形成される細胞間のマトリックス構造の特性について、電子顕微鏡並びに抗XII型コラーゲン抗体を用いたレーザー顕微鏡解析を行った。 その結果、欠損変異体プラスミドを用いたルシフェラーゼアッセイにより、筋分化に伴うXII型コラーゲン遺伝子発現制御領域は、転写開始点の上流230塩基から9塩基の間に存在することが予想された。この領域をゲルシフトアッセイにより検索した結果、p53結合部位が見出され、筋分化に伴いその部位におけるp53結合活性が低下することが判明した。そこで、p53強制発現の筋分化に伴うXII型コラーゲン遺伝子発現に及ぼす影響を検討したところ、その活性上昇を抑制した。さらに、△Np73強制発現下においては低血清による分化誘導の有無にかかわらずXII型コラーゲン遺伝子発現が上昇した。また、△Np73安定発現C2C12株の長期培養系において、細胞間コラーゲン線維が太くなり、同時にXII型コラーゲンの蓄積が認められた。 以上の結果より、筋細胞の分化過程におけるXII型コラーゲン発現制御にはp53ファミリーが関与するメカニズムが存在し、筋間結合組織の性状に寄与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
XIV型コラーゲン遺伝子発現の解析は予定よりやや遅れているが、電子顕微鏡解析並びに免疫組織化学的解析により、△Np73がコラーゲン線維の形成に関与しているという新たな発見があった。
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Strategy for Future Research Activity |
XIV型コラーゲン遺伝子発現の解析を進め、組織の特性との関連性を明らかにする。
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