2011 Fiscal Year Annual Research Report
母ドリから卵黄へのIgY抗体の輸送を担う新規IgY受容体の同定
Project/Area Number |
22580307
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村井 篤嗣 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10313975)
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Keywords | 鳥類 / ウズラ / ニワトリ / 卵胞 / 卵黄 / IgY / 抗体 / 受容体 |
Research Abstract |
本研究は、母ドリ卵黄へのIgY取り込みを担う新規な「IgY 受容体」を同定することを目的とする。本年度は、卵黄に高効率で輸送される野生型の組換え型IgY-Fcとほとんど輸送されることがない組換え型IgY-Fcの変異体を用いて、両組換え体の卵胞組織への浸透度を調査し、IgY受容体が存在する組織層の同定を目指した。また、ウズラの卵胞組織から形質膜画分を調整し、候補受容体の結合活性の検出を目指した。得られた結果の概要は以下の通りであった。 ・産卵ウズラに野生型と変異型のIgY-Fcをそれぞれ投与し、経時的に卵胞組織を採取した。卵胞組織から薄切切片を作成し、卵胞組織内に取り込まれた投与IgY-Fcを免疫組織学的手法により可視化した。 ・卵胞組織内の卵黄部に投与した野生型IgY-Fcの蓄積が確認された。一方、変異型IgY-Fcは卵黄部へは到達していなかった。 ・卵胞組織の外層にあたる卵胞膜細胞層には変異型IgY-Fcが到達しており、野生型IgY-Fcに匹敵する量が検出された。 ・以上より、卵胞組織の外層より内側に目的のIgY受容体が存在すると推察された。 ・雌ウズラ卵巣組織の顆粒膜細胞周辺の組織層から形質膜画分を調整した。得られた細胞膜画分を可溶化後、ニトロセルロース膜に固定化し、組換え型IgY-Fcとの結合活性をドットブロット法により測定した。 ・固定化された形質膜画分と野生型IgY-Fcとの結合活性を検出した。しかし、卵黄輸送能を欠く変異型のIgY-Fcでも同程度の結合活性が確認された。競合物質を用いた結合試験の結果、本実験で観察された結合活性はIgY固有のものではないことが判明した。 ・目的とするIgY受容体を見いだすための更なる工夫が必要と判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵黄輸送を担うIgY受容体の存在を支持するデーターが蓄積されているものの、IgY受容体を同定するには至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
IgY受容体の同定を目指すことに変更はない。具体的な対策として、1)受容体が存在すると思われる形質膜画分の調整方法を変更する、2)形質膜画分のサンプル量を10倍程度にスケールアップする、3)IgYをリガンドとした免疫沈降法ならびにカラム精製法の両手法により目的の受容体の抽出を試みる。また、これまでにない取り組みとして、卵胞細胞のcDNAライブラリーを構築し、IgYと結合活性を持つタンパク質をコードしている遺伝子群を網羅的にスクリーニングする手法を導入する予定である。
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