2011 Fiscal Year Annual Research Report
リモートコントロールシステムを用いた次世代型放牧管理システムの確立
Project/Area Number |
22580312
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平山 琢二 琉球大学, 農学部, 助教 (00274887)
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Keywords | 放牧 / 行動 / リモートシステム / 行動制御 / GPS |
Research Abstract |
本申請では、無牧柵の放牧環境下において家畜などの管理動物を無人で効率的かつ省力的に飼養管理することを最終目的としている。すなわち、放牧地への管理対象動物の導入から退出までを管理し、さらに放牧中の動物の栄養状態や健康状態の把握、これらを基準とした牧区設定および牧区間移動にいたるまでを本申請で開発するシステムで行うものである。また、フリースタイルの無牧柵環境での草地状態(被度および栄養分布など)をGIS (Geographic Infomation System)を使って動物の摂草状況(本申請で開発する行動計測システムで計測)とシンクロさせ草地状態をシミュレートし、効率的に牧区設定および動物の移動を行うなどの総括的な管理体制を構築するまでを本申請における最終目標とする。 これまでの移動量計測システムはA1間欠信号を2方向交点計測法によるものであるが、本法は計測者による誤差(熟練度)が大きく、交点計測に手間を要するため、GPS情報をシステムに付加することで、簡易に高精度の位置情報が得られ、これによって家畜移動量が容易に計測できる。これまでに開発したシステムはGPS情報のみでなく、家畜の栄養状態において最も重要な採食・反芻・休息行動を同時に計測できるもので、これらの情報によって、家畜が「今どこで何をしている」のかをリアルタイムで確認することができる。 平成23年度においては、上記のことを踏まえ家畜の健康状態を常に監視できるシステムの構築を目指し、その指標として体温を遠隔地から計測できるシステムの開発について検討した。まず長期的な体温計測が必要である点から、通常用いられている直腸温度や膣内温度を長期継続して計測することは事故の危険性や家畜衛生上から、好ましくないものと考え、他の部位による体温計測を試みた。本年度は、首輪の裏側に温度センサーを装着し、首輪直下裏の体表部の温度が直射日光にあたらず環境温度の影響を受けづらいものと考え、同部位での体表温度と直腸温度の各シーズンにおける相関性について検討した。その結果、季節によって相関性が異なり、さらに回帰式も季節によって異なってくることが明らかになった。このことから、本部位における温度計測で体温を推測することは困難であることが示された。さらに耳内温度についても同様に行ったが、首輪直下裏体表部の結果と同様であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに移動量計測システムの開発はほぼ完了し、リアルタイムで家畜がどこで何をしているかを遠隔地PC上で確認することは可能となった。その一方で、双方向システム自体はある程度完成しているものの、家畜の行動を制御するシステムについては未だ改良の余地があると判断している。また、健康状態の把握についても体温計測が困難であることから、他を指標とした健康状態把握システムを早急に検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は特に計測デバイスの改良を考え、放牧状態におけるメタン排泄量を計測できるシステムの開発を行いつつ、これまでに開発したシステム全体の評価を現場フィールドを用いて行うことを予定している。健康状態の把握については、心拍や行動量から推測するハードおよびソフト面からシステム構築を目指す。
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Research Products
(2 results)