2010 Fiscal Year Annual Research Report
黄体由来血管内皮細胞におけるプロスタグランジンおよび活性酸素作用機序の解明
Project/Area Number |
22580318
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
アコスタ トマス 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80379718)
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Keywords | ウシ / 繁殖 / 黄体退行 / 内分泌 / 活性酸素 / 一酸化窒素 / プロスタグランジンF2α / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
【目的】ウシを含む多くの哺乳動物において排卵後形成される黄体は、子宮からのPGF2αにより退行することが知られている。PGF2αと同様に子官ならびに黄体において産生されるPGE2は、多くの哺乳動物において黄体維持ならびに妊娠の成立に重要である。黄体退行因子であるPGF2αならびに黄体維持因子であるPGE2の産生量の相対比(PGF2α/PGE2)の変化は黄体退行に重要であることが考えられる。最近、退行時のウシ黄体においてアポトーシス誘導因子として知られる活性酸素種(ROS)の増加が報告されているが、ROSの黄体退行時における詳細な役割は明らかにされていない。また、我々の研究室は黄体を構成する細胞の大半を占める血管内皮細胞(LEC)において、PGF2αがROSの一種であるNO合成能を刺激することを明らかにした。これらのことから我々は、PGF2αとROSとの局所的な相互作用により黄体が退行するという仮説を立てた。これまで黄体細胞におけるPGF2α産生に及ぼすROSの影響は明らかにされているが、LECのPGF2α産生に及ぼすROSの影響は明らかにされていない。そこで本研究は黄体退行機構におけるROSの役割を明確にすることを目的とし、ウシ中期LECのPGF2αおよびPGE2合成調節機構に及ぼすNOならびにH2O2の影響について検討を行った。【方法】ウシ中期黄体より単離したLECを播種し、コンフルエントになるまで培養後以下の実験に用いた。(1)H2O2(1-100μM)またはNOドナーであるNONOate(1-100μM)を添加し、2または6時間培養した後、培養上清中のPGF2αならびにPGE2量の変化をEIAにより測定した(n=3)(2)H2O2(100μM)およびNONOate(100μM)を添加し、6時間培養した後、PGF2αおよびPGE2それぞれの合成酵素であるPGFSならびにPGES mRNA発現量の変化を半定量的RT-PCRにより測定した(n=3)。【結果】(1)PGF2α/PGE2は、1および10μM H2O2添加後2h培養した区において減少したが、1μM H2O2添加後6h培養した区において有意に増加した。NONOate添加区においては、いずれの時間区においても有意に減少した。(2)PGFS mRNA発現量はH202およびNONOate添加区において無添加区と比較して有意に刺激されたが、PGES mRNA発現量に有意な差は見られなかった。 以上、ROSがPGF2α/PGE2を低下させたことから、黄体退行時に増加するROSは、LECのPGs合成に及ぼす影響から黄体退行へ関与している可能性は少ないことが示された。
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Research Products
(7 results)