2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリの国際スタンダードSNPマーカー作製およびその解析システムを構築する
Project/Area Number |
22580319
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西堀 正英 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (80237718)
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Keywords | ニワトリ / SNP / マーカー / DigiTag2 / 国際スタンダード / 96組 / 集団解析 / 個体識別 |
Research Abstract |
本研究は『ニワトリの国際スタンダードSNPマーカー作製およびその解析システムを構築すること』を目的とし、本年度は96組のニワトリ国際スタンダードSNPマーカー作製と解析システムを構築した。本SNPマーカーをDigiTag2法を利用し、3品種、卵用商用鶏(1系統)および肉用商用鶏(1系統)計5集団90羽を用いてSNPタイピングした。その結果、96セットのSNPのうち79SNPについてSNPタイピングすることができた。このうち7SNPでは多型が観察されなかった。そこで、72SNPについて解析を進め、対立遺伝子頻度が20%を超えるSNPは40あり、各集団における多型座位割合は0.53~0.85であった。これらの遺伝子頻度から算出した総合同値確率は、2.69×10^<-19>となった。全世界の鶏飼育羽数は1.85×10^<10>羽(2009年)である。このことから、72SNP90羽の解析で世界中で飼育されているニワトリ全てを本システムを使ってタイピングすることで、ニワトリの個体識別が理論的に可能であることが示された。解析不良であったSNPと多型が観察されなかったSNPについて解析候補SNPを取り替えて再解析を行うことで、DigiTag2法を用いた96SNPの効率的な解析ならびに個体識別への応用の可能性が大きく広がった。さらにSTRUCTUREを用いた集団解析の結果、用いた5集団は遺伝学的に6つの集団に区分することが最適であることが明らかとなった。一方、EIGENSTRATによる主成分分析の結果、5集団中2集団で明らかな散布傾向が見られたが残り3集団ではクロスオーバーした。これらの結果から3集団では各集団の成立過程で交雑あるいは遺伝子の相互流動があったものと推測された。以上のことから、本研究で構築したSNP解析システムはニワトリの集団構造を解析するために有効であり、個体識別の可能性も示唆された。
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