2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリの国際スタンダードSNPマーカー作製およびその解析システムを構築する
Project/Area Number |
22580319
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西堀 正英 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (80237718)
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Keywords | ニワトリ / SNP / マーカー / DigiTag2 / 国際スタンダード / 96組 / 集団解析 / 個体識別 |
Research Abstract |
本研究は『ニワトリの国際スタンダードSNPマーカー作製およびその解析システムを構築すること』を目的とし、96組のニワトリ国際スタンダードSNPマーカー作製と解析システムを構築するとともに、DigiTag2法によるSNPs解析を設計したSNPマーカーに対して実施し、ヤケイおよびニワトリにおける利用の実現性を確認するとともに、利用上の問題点を検討した。 DigiTag2法を利用し、土佐地鶏・小国・ライトサセックス・ホワイトプリマスロック・アローカナ・セキショクヤケイ・セイロンヤケイ・ハイイロヤケイ・アオエリヤケイ等の14集団239羽を用いてSNPタイピングした。その結果、これらのサンプルに対して96セットのSNPのうち74SNPについてSNPタイピングすることができた。これらの遺伝子頻度から算出した総合同値確率(P)は、P=2.70×10^<-20>となった。全世界の鶏飼育羽数は1.85×10^<10>羽(2009年)である。このことから、74SNP124羽の解析で世界中で飼育されているニワトリ及びヤケイ全てを本システムを使ってタイピングすることで、ニワトリの個体識別が理論的に可能であることが示唆された。さらに解析不良であったSNPと多型が観察されなかったSNPについて解析候補SNPを取り替えて再解析を行うこと(今後の課題)で、DigiTag2法を用いた96SNPの効率的な解析ならびに個体識別への応用の可能性が大きく広がった。さらにSTRUCTUREを用いた集団解析の結果、用いた14集団は遺伝学的に16の集団、つまりアローカナと小国に品種内の多様性がみられた。一方、EIGENSTRATによる主成分分析の結果、セキショクヤケイ以外のヤケイと、セキショクヤケイ及びニワトリの大きく2つの集団に分かれた。これらの結果からニワトリ成立過程でセキショクヤケイの関与がもっとも大きなこと、トサジドリがセキショクヤケイと最も近縁であることが明らかとなった。本研究で構築したSNP解析システムはニワトリおよびヤケイの集団構造を解析するために有効であり、品種鑑別ならびに個体識別の可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
DigiTag2での検出効率が当初の想定よりも高かったこと、ならびにSNP解析技術の進歩が急速に進んだことで、本研究の進展が当初の計画よりも順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の採集到達目標は、ニワトリの国際スタンダードSNPマーカー作製およびその解析システムを構築することである。本年度は最終年度でもあり、これまでの成果を基にして、日本鶏、産業鶏ならびにアジア在来鶏について、ニワトリの品種識別、集団(雑種個体群)識別および個体識別ならびに分子マーカートレーサビリティの検討をする。
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