2011 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類下垂体転写因子によるホルモン遺伝子発現制御機構
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22580322
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
神作 宜男 麻布大学, 獣医学部, 教授 (60333142)
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Keywords | 応用動物 / 生体分子 / 転写因子 |
Research Abstract |
鳥類PREBの遺伝子発現解析及び下垂体における同定のためのタンパク質発現ベクターの構築を行った。 鳥類におけるプロラクチン調節領域結合タンパク質(PREB)の下垂体における機能は不明である。ほ乳類においてはプロラクチン(PRL)遺伝子のプロモーター領域に結合し、プロラクチン遺伝子発現を制御する事から、鳥類のプロラクチン遺伝子発現が変動する胚発生期及び非産卵期と産卵期における発現変化を検討した。胚発生期における遺伝子発現をRT-PCRにより検討したところ、発生14日における発現は高いものの、16日より20日までの発現量には大きな差が認められなかった。しかしながら20日胚の下垂体を器官培養し、培養液にサイクリックAMP(cAMP)を加えた場合にはコントロールの培養液に浸した下垂体と比べPREBのmRNA発現量が有意に増加する事が確認された。一方、比較としてPRL mRNAもRT-PCRにより検討したが、発生後期の18日、20日で発現量の上昇が認められた。成鳥においては非産卵期と産卵期のメス個体及びオス個体における発現量比較を行ったが3群には大きな発現量の差は認められなかった。以上の事から産卵期と就巣期における比較は行っていないが、視床下部由来のVIPがcAMP濃度を上昇させる事が知られており、VIPがPREB経由で間接的にPRL遺伝子発現を制御している可能性が新たに考えられた。 発現ベクターの構築は昨年度得られたPREBの配列をもとに行った。PREBcDNA配列には非常に多くのGC配列をもつ事から上流及び下流二種類のcDNA断片の増幅を試み、増幅が容易である下流部分(エクソン5より終止コドンまで)をpColdIベクターに挿入し、タンパク質発現誘導を行った。SDS-PAGEにより発現誘導が行われている事が確認できたが、発現量は少なく、封入体の形で存在している事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロラクチン制御領域結合タンパク質のクローニングが終了し、タンパク質発現ベクターへの組み込みが終了しているため、タンパク質の発現一精製後に抗体を作成すればウェスタンブロット解析はすぐに行える。また、下垂体における発現定量の正確さを高めるために近くリアルタイムPCRを行い定量する予定であり、ほぼ予定通りに計画を終える事ができるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の焦点はほ乳類において行われているようなアンチセンス技術を用いて、発生個体あるいは繁殖周期中個体の下垂体へのインジェクションを行い、下垂体ホルモンや各種転写因子へのPREBの影響度を確認することで、プロラクチン遺伝子を含めた下垂体ホルモンの発現制御機構をさらに解き明かす事が課題となる。
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