2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580323
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (70192739)
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Keywords | mES細胞 / 分化誘導法 / PGC様細胞 / 配偶子形成 |
Research Abstract |
昨年来行っている三次元培養を新規生殖細胞の分化誘導法の確立も再検討したが、残念ながら、三次元培養を用いた自発的な生殖細胞の分化誘導では、他系譜の細胞の誘導、増加が促進され、生殖細胞の誘導に適する誘導環境ではなかった。そこで、我々は今一度、実験系を再度見直し、mES細胞の分化経路を阻害することで、基底状態として安定したmES細胞から生殖細胞の誘導を試み、誘導効率の安定化に繋がるか検定を行った。阻害剤を添加したmES細胞は、ES細胞中で発現が確認されるヘテロジェネティーな細胞集団が安定していることが確認された。このES細胞から生殖細胞の分化誘導を行った結果、誘導効率自体に改善は確認されなかったが、生殖細胞に関連したMvhなどの遺伝子発現が増加し、同時に誘導効率の安定化が確認された。これらPGC様の細胞は成体マウスの精巣に移植することにより、精子形成を開始することも確認された。以上の結果から、生殖細胞の分化誘導において、誘導方法のみでなく、供試するES細胞の性質も誘導効率に関係することが明らかとなり、ES細胞の培養方法にも注目する必要があることが示された。しかし、体外で誘導可能であったのはPGC様細胞であり、配偶子形成には到達しなかった。現在までに、体外で精子様の細胞の誘導は報告されているが再現性が問題視されており、また授精能を有する卵子の報告もなされていない。そこで我々は現在、体外において配偶子形成を再現できる培養系の確立を試みている。胎児マウスのPGCを含む未分化生殖隆起を摘出し、配偶子形成が可能となる条件を検討している。このような培養系でES細胞から誘導したPGC様細胞を培養することにより、体外での卵子を含む配偶子形成の可能性を再度検討する事とする。(736文字)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
配偶子の体外分化に関する実験精度が低く、実験系の再現性をあげるため、今一度、メカニズムの検証実験を入れる事にしたので、配偶子を構成するメカニズムの検討と言う応用的な部分に手が回っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、分化誘導の際に、その出発のマテリアルを均一なものとして取り扱ってきたが、要約に記したように、これからは、そのマテリアルを精査し均一化出来る方法を開発して、三次元培養を新規生殖細胞の分化誘導法に取り入れる予定である。
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Research Products
(4 results)