2011 Fiscal Year Annual Research Report
生殖系列細胞を可視化させる遺伝子導入ニワトリの作出に関する研究
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22580325
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田上 貴寛 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・家畜育種繁殖研究領域, 主任研究員 (60355104)
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Keywords | ニワトリ / 始原生殖細胞 / トランスジェニック / ニワトリVasaホモログタンパク質(Cvh) / 緑色蛍光タンパク(GFP) / レンチウイルスベクター |
Research Abstract |
ニワトリVasaホモログ(Cvh)遺伝子のプロモータ領域(Cvhの上流2030bpの配列)をCvhプロモータとして、緑色蛍光タンパク質遺伝子(Venus遺伝子)を下流に連結した遺伝子導入用レンチウイルスベクター(CVHp一Venus:ウイルス力価:7.05x10^9IFU/ml)を作製した。このレンチウイルスベクターを5個の艀卵2.5日ニワトリ胚の血管中へ1μl注入し、遺伝子導入操作を行った。これらの胚は操作後、艀卵を継続し、全てが艀化した(雄3羽、雌2羽)。艀化した遺伝子導入操作ニワトリ(GO)の遺伝子導入効率を調べるため、採血液から抽出したDNAにおける導入遺伝子の存在をPCR法により解析した。その結果、艀化した5羽全てにおいて、導入遺伝子の存在が確認された。性成熟に達した雄の遺伝子導入操作ニワトリの精子における導入遺伝子の存在をPCR法により確認した結果、3羽中2羽から導入遺伝子が確認された。2羽の雌遺伝子導入操作ニワトリおよび精子のゲノムにCVHp-Vbnusが組み込まれたと推定される2羽の雄の遺伝子導入操作ニワトリについては、非遺伝子導入雌ニワトリとの交配により、その後代(G1)から全身の細胞の染色体にcVHp-Vbnusが組み込まれた遺伝子導入ニワトリの作出を開始した。一部の胚については解剖し、緑色蛍光タンパク質の発現を観察した。しかしこれまでのところ導入したDNA配列が組み込まれていることが確認された胚の生殖巣において緑色蛍光が観察されていないため、作製された遺伝子導入ニワトリにおいては導入遺伝子の発現抑制が起こっている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子導入操作をしたニワトリの配偶子に導入遺伝子が組み込まれていることが推定されるため、目的の遺伝子導入ニワトリが作出される可能性が高いと考えられる。従って、導入遺伝子が正常に発現することが確認できれば遺伝子導入ニワトリを用いた各種解析も予定通り推進されると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、遺伝子導入操作ニワトリを交配することにより目的の遺伝子が組み込まれた遺伝子導入ニワトリの作出を試みているが、一部の胚については解剖し、遺伝子の発現を観察した。しかしこれまでのところ導入したDNA配列が組み込まれていることが確認された胚の生殖巣において緑色蛍光が発現していないため、遺伝子導入ニワトリにおいては導入遺伝子の発現抑制が起こりやすい可能性がある。研究代表者がこれまで作製してきた遺伝子導入ニワトリ(G1)においても、導入遺伝子の発現様式は個体ごとに異なり、全く発現しないものからほぼ全ての組織で強い発現が見られる個体まで様々であることから、本研究において作製された遺伝子導入ニワトリについては導入遺伝子の発現状況はそれぞれの個体ごとに詳しく解析する必要がある。また、最終年度ではあるが、念のため導入遺伝子の発現が抑制されにくい遺伝子導入ベクターを開発し、新たに遺伝子導入操作ニワトリを作製することとする。
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Research Products
(2 results)