2010 Fiscal Year Annual Research Report
リゾチームをモデルタンパク質としたアミロイド線維形成機構と細胞毒性発現の解析
Project/Area Number |
22580336
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉元 康志 鹿児島大学, 連合農学研究科, 教授 (10100736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松元 光春 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (30157383)
日下部 宣宏 九州大学, 農学研究院, 准教授 (30253595)
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Keywords | リゾチーム / アミロイド線維 / タンパク質の変性 / コア領域 / 細胞毒性 / 神経細胞 |
Research Abstract |
近年、タンパク質の凝集体が体内で蓄積し、神経疾患などを引き起こし、重篤な病態を示すことが問題となっている。その1つにアミロイド線維がある。アミロイド線維形成タンパク質のモデルとしてリゾチームを用いて、その形成機構と細胞毒性について解析した。まずは卵白リゾチームについてアミロイド線維形成コア領域の特定を進め、9残基からなるペプチドを同定し、この領域がどのようにアミロイド形成に関与するかを調べた。本ペプチドは高い疎水性と強い凝集性を示し、62番目のトリプトファンは重要なアミノ酸であることを確認した。これの線維は針状であり、リゾチーム自体やこの領域を含む長いペプチドとは異なる線維形成であることを観察した。9残基を削ったものや変異させたものは線維を形成しないことからこの領域がアミロイド線維形成コア領域と結論した。このペプチドはリゾチーム自他のアミロイド線維化を助長し、シーズとなって働くことも確認した。この領域はタンパク質分子内部に位置しており、アミロイド線維形成にはこの領域が分子表面に露出して来ることが推察された。 ヒトの変異体リゾチームのアミロイド線維形成を解析するためにヒトのリゾチーム変異体の作製にあたり、発現システムを構築した。 アミロイド線維の毒性についてヒト神経細胞を用いて調べ、リゾチーム繊維の細胞毒性としてアポトーシス誘導性があることが観察された。この毒性はリゾチームのアミロイド線維形成の初期段階のものが最も強いことが分かった。つまり線維形成は未熟であるが、タンパク構造変化の変化により毒性が発現してくると考えられ、特に、細胞膜との相互作用が重要であると推察される。
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Research Products
(4 results)