2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病改善をめざした非炎症性マクロファージの誘導と小腸における糖吸収機構への関与
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22580337
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
森本 素子 宮城大学, 食産業学部, 教授 (30250301)
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Keywords | 糖尿病 / マクロファージ / サイトカイン / 糖輸送担体 / 肝臓 / 脂肪組織 / 小腸 / マウス |
Research Abstract |
前年度までに、寄生虫感染によって誘導される2型サイトカインが糖尿病の病態を改善することが明らかになり、非炎症性マクロファージ(飴Macs)の関与が示唆されたため、その機序についてさらに検討を行った。AAMacsの分化に関わる重要な因子として、脂肪酸が指摘されている。飽和脂肪酸はTLR-4を介して炎症性マクロファージを活性化し、TNFαを大量に産生させ、糖尿病を悪化させるが、不飽和脂肪酸の摂取はAAMacsへの分化を誘導することが報告されている。そこで、糖尿病モデルマウスであるKK-Ay/TaJ1マウスにn-3系列の多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)を投与し、糖尿病病態の変化、非炎症性マクロファージ(AAMacs)の分化、および糖輸送担体(GLUT)の発現について調べた。KK-Ay/TaJlマウス(8週齢)にDHAを5.5%含む餌を3週間投与した後と殺し、血液生化学検査により血糖値および肝機能の解析を行った。また、小腸、肝臓、脂肪組織を採取し、RNAを抽出してリアルタイムPCR法を用いてIL-4、IL-13、IL-10、IFNγ、TNFα、IL-6、ARG-1、GLUT2、アディポネクチンの遺伝子発現定量解析を行った。その結果、DHA投与群では血糖値および肝機能に改善が見られた。また、脂肪組織においてAAMacsのマーカーであるARG-1遺伝子の発現が有意に増大し、さらに、IL-10遺伝子の増大も認められた。しかし、炎症の指標となるIL-6、TNFαに有意な差はなく、アディポネクチンにも差は認められなかった。小腸におけるGLUT2の発現にも差はなく、DHAによって脂肪組織にAAMacsが誘導される可能性は示唆されるものの、小腸における糖の吸収抑制に関与するという結論は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災のため、まったく実験できない時期が数か月あった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度予定していて震災のため実施できなかった実験の一部は今年度実施する予定である。震災時に失った試薬については後に被害額の6割程度の予算がついて購入できたが、完全に補てんされたわけではない。したがって予定していた実験の一部は実施できない可能性もあるが、予算の中で優先順位をつけて対応していく。
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