2012 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん~不安障害・睡眠障害に至る神経疾患分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
22580338
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
加藤 啓子 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (90252684)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 不安障害 / てんかん / シアル酸 / 油脂 / 酵素 / ホルモン |
Research Abstract |
α2,3-シアル酸転移酵素遺伝子欠損(ST3Gal IV-KO)マウスは,てんかん刺激に非応答であり,てんかん発作を発症しない。また,うつ病や不安障害等の神経精神症状を示す。本研究の目的は,この遺伝子欠損マウス脳から,てんかん~不安障害・睡眠障害に関わる分子を同定することであった。まず,ST3Gal IVによりシアル酸修飾を受ける糖鎖構造を持つ候補分子を探索した。正常な雌マウスは,分娩前日より卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が亢進し,分娩後12-20時間で排卵し,雄に出会うと妊娠する(後分娩発情)。ST3Gal IV-KO マウスの雌は性周期が不順であると共に,周産期分娩異常を示し,後分娩発情に先立つFSHの分泌は全くおこらない。ヒトで不安障害とFSHの分泌量との関連性が示唆されており,治療後にFSH分泌量の増加が見られる。この卵胞刺激ホルモンが,ST3Gal IVによりシアル酸修飾を受けている可能性があり,不安障害に関わる可能性が示唆された。 一方,てんかんモデルマウスと本遺伝子欠損マウス脳の間で,発現の逆転を示す分子を見つける事に成功した。その分子は,成長ホルモンと脂質代謝関連酵素Aであった。そこで,脂肪酸組成の異なる油脂(トリグリセリド)を与えたマウスを用いて,オープンフィールド試験と恐怖条件付け試験を実施したところ,α2,3-シアル酸転移酵素遺伝子欠損マウスは,n-3系の多価不飽和脂肪酸油脂の摂食により,探索行動の低下と文脈的恐怖記憶の強化を示した。この結果は,てんかんや不安障害の発症に脳内の脂質代謝が関与し,その原因候補として脂質代謝関連酵素Aが関連している可能性がある。 本研究課題の遂行により,少なくとも二つのてんかん~不安障害・睡眠障害に関わる分子の探索に成功した。今後,これら分子の作用について検討する道筋をつけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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