2010 Fiscal Year Annual Research Report
終末分化した脂肪細胞および卵胞顆粒層細胞の脱分化および多能性獲得機構の解明
Project/Area Number |
22580340
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加野 浩一郎 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80271039)
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Keywords | 成熟脂肪細胞 / 卵胞顆粒層細胞 / 脱分化 / 多能性獲得 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
我々は、生体内において特異的な機能をもつ成熟脂肪細胞(MA)および卵胞顆粒層細胞(GC)を体外培養し、脱分化させることによって、種々の細胞へと分化する細胞を作り出すことに成功している。しかし、これらの細胞がどのような機構で脱分化するかについては明らかにされていない。本年度では、MAおよびGCの脱分化機構の一端を明らかにする目的で、脱分化前後の各2点をマイクロアレイ解析することによって、脱分化過程における遺伝子発現状況を網羅的に調べた。ブタマイクロアレイで利用できる遺伝子機能情報は不足していることから、ヒトおよびマウスの全遺伝子に対する配列相同性検索を用いてブタの遺伝子機能予測を行なった。その結果、70%近くの遺伝子機能情報を対応付けすることに成功し、ブタマイクロアレイデータの生物学的解釈が可能となった。次いで、MAあるいはGCが脱分化および多能性獲得することによって有意に変化した遺伝子に関連する生物学的機能の特徴を調べた。その結果、採取直後に強く発現していたMAおよびGC特異的機能に関与する遺伝子は、脱分化後にその発現が著しく減少した。一方、脱分化後に共通して有意に発現が増加した遺伝子は、細胞運動、細胞の形態変化、組織の発生、細胞接着、細胞増殖、血管新生、細胞の形態形成およびアクチン細胞骨格の生合成に関連する機能をもつことが明らかとなった。また、これらの遺伝子群についてさらに精査した結果、ストレス応答、細胞の形態変化および細胞の分化制御に関する遺伝子群に分類されることが示された。
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Research Products
(5 results)