2012 Fiscal Year Annual Research Report
美麗食道虫症の自然伝播に影響する寄生虫の生物学的要因と宿主の生態学的要因の研究
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22580349
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐藤 宏 山口大学, 獣医学部, 教授 (90211945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 英男 大分大学, 医学部, 教授 (00126442)
横山 真弓 兵庫県立大学, 付置研究所, 准教授 (50344388)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 美麗食道虫 / rDNA / cox-1 / 宿主特異性 / 伝播動態 / 野生動物 / 家畜 |
Research Abstract |
本研究は、広域な哺乳動物の食道上皮内寄生線虫である美麗食道虫(Gongylonema pulchrum)を解析モデルとして、「宿主特異性」あるいは「自然伝播」を規定する要因を明らかにすることを目的として実施した。国内ではウシやシカといった反芻類、イノシシ、ニホンザル、動物園リスザルなどの異なる宿主に寄生する美麗食道虫について、リボソームRNA遺伝子(rDNA)ならびにミトコンドリアDNAのCOI領域に注目し、宿主由来とそれから分離される美麗食道虫の遺伝子型について検討した。ウシとシカについては、地域差について検討するために全国的な材料収集とした。rDNAについては18S~28Sにわたる6,100塩基対をそれぞれの動物種に寄生する美麗食道虫で明らかにし、ITS1ならびにITS2領域に変異が頻発することを確認するとともに、更に、これらの2領域を中心に異なる宿主由来をもつ虫体の遺伝子型の相互関係について解析を進めた。この解析から、ウシ型(ウシ、動物園リスザル、外来動物キョン)とシカ型(シカ、イノシシ、ニホンザル)が区別された。ミトコンドリアDNAのCOI領域の解析から、ウシ型2タイプ(ウシ、リスザル)、シカ型8タイプ(シカ、イノシシ、ニホンザル)が確認された。以上の結果は、自然環境下では、家畜(ウシ)と野生動物(シカ、イノシシ、ニホンザル)との間で同一遺伝子型の美麗食道虫の感染環の共有がないことを明確に示していた。なお、イランや中国(内モンゴル)産の牛から分離した美麗食道虫の遺伝子型は、国内の牛寄生系統と重なる系統が確認された。一方、ネパールの水牛に寄生する美麗食道虫について同様の検討を行ったところ、これまでに確認した国内各種動物および中国・イラン産ウシに寄生する美麗食道虫とはかなり異なる固有の遺伝子型をもつことが確認され、地理的個体群もしくは宿主固有個体群として理解された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)