2011 Fiscal Year Annual Research Report
病原体を媒介するブユをDNA配列で同定するためのデータベース構築
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22580350
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大塚 靖 大分大学, 医学部, 助教 (00244161)
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Keywords | ブユ / 分類 / 媒介者 |
Research Abstract |
日本産ブユをDNA配列で同定するためのデータベースを構築することが本課題の目的である。日本産ブユはこれまで74種が記載されており、そのうち50種余りはすでに採集しDNAを抽出している。DNAを抽出していない種については、岐阜県でSimulium ogataiを採集した。また、島根県においてS.omutaenseを採集した。この2種を採集したことで日本で記載されたSimulium属Gomphostilbia亜属6種全てを採集したことになった。これら新規に採集したブユはミトコンドリア16S rRNA領域とcytochrome c oxidase subunit I (COI)領域のそれぞれ一部をPCRで増幅して塩基配列を決定した。その結果Gomphostilbia亜属6種はDNAレベルでも十分に違いがあり、これらの領域で種の同定が出来ることがわかった。これまで抽出した日本産ブユ種についてはCOIのプライマーセット(C1-J-2195とTL2-N-3014)でPCRを行い、全ての種で増幅できた。この課題の目的はDNA配列で日本産ブユを同定するこであるが、一部の種は海外の種との鑑別が必要となって来ている。S.quinquestriatumは日本、中国、台湾、タイと広く分布する種であり、台湾の標本を基に記載されている。形態でも各地の違いを指摘されていたが、塩基配列の比較で、少なくとも台湾とその他の地域は別種と考えられるくらい違いがあった。これらの結果から台湾産以外のS.quinquestriatumには別の種名が必要となってきた。さらに台湾以外の標本間にも違いがあり、それらを別種としていいのかどうかをDNAレベルと形態で検討していかなければいけない。さらにS.quinquestriatum以前に記載されているS.grisescensや近縁種との比較も必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題を始める前の最大の懸念材料は、全てのブユ種で増幅出来るPCR用のプライマーが用意出来るかであった。今回使用しているCOIの一部を増幅するプライマーセット(C1-J-2195とTL2-N-3014)は、これまでのところ全てのブユ種でPCR増幅し、近縁種でもある程度の種間の変異を確認した。このプライマーセットの有効性を確認出来たことは、この課題の目標達成に大きく近づくものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の目的は日本産ブユをDNA配列で同定するということだが、同時にブユの系統関係を明らかにすることでもある。他の研究者はCOIの他の部分やCOIIも利用してる。よってそれらの研究と比較可能にするために、日本産ブユについてもCOIとCOIIの全配列の決定を試みる。全てのブユ種に対してこれらを領域を増幅するPCRプラマーを作成することができるかが、今後の問題点である。
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Research Products
(2 results)