2011 Fiscal Year Annual Research Report
南九州の放牧牛における膵蛭類の簡易診断法の開発と疫学調査
Project/Area Number |
22580351
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
野中 成晃 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50281853)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 洋一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (80173623)
|
Keywords | 膵蛭 / 小形膵蛭 / 虫卵検査 / 診断 / 分子生物学 / DNA / Eurytrema / 系統樹解析 |
Research Abstract |
島根県および沖縄県の食肉衛生検査所に協力を依頼し、各県の屠畜場で採取した膵蛭類感染牛から虫体および糞便を収集して、昨年度開発したナイロンメッシュ簡易虫卵検査法の信頼性を評価した。寄生虫体数と糞便10gの虫卵検査結果を比較した結果、48検体中47検体において虫卵が認められた。虫卵が検出されなかった検体は寄生虫体数が5匹であった。寄生虫体数が5匹以下であった牛は全部で10頭であり、残りの9頭からは虫卵が検出された。よって、本法が高い信頼性を持つことが示された。また、収集した虫体の一部は培養液中で2-3日間培養し、培養液から分泌排泄抗原を、虫体から虫体粗抗原を作成して、それぞれウサギに投与して、糞便内抗原検出法に使用する抗膵蛭ウサギポリクローナル抗体を作成した。次年度に本法を開発・評価する。さらに、屠畜場での採材時には血餅も採取しており、そこから得られた血清は血清診断法の評価で使用する予定である。 膵蛭および小形膵蛭の種の独立性について検討するため、上記虫体サンプルに加え、東京都芝浦食肉衛生検査所で検出した虫体、およびベトナム、ブラジルから虫体を入手した。その一部について、CO1およびITS2領域の系統樹解析を行ったところ、解析したサンプル群は2つのクレードを形成した。系統樹解析に用いた各虫体については圧偏標本を作成しており、今後、虫体の形態とクレードの関係を解析し膵蛭および小形膵蛭の種の独立性を検証する。これらを明らかにした後、膵姪と小形膵姪を区別するmultiplex PCR法の開発および疫学調査を開始する予定である。 これに加え、沖縄県八重山家畜保健所の協力を得て、八重山諸島の畜産農家を調査し、感染牛を対象に駆虫試験を現在実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
沖縄県石垣島屠畜場での材料採取の調整やブラジル材料の通関手続きに手間取ったため、虫体の遺伝子解析が遅れ、multiplex PCR法の開発および疫学調査を開始するまでに至らなかった。次年度に実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
診断法の開発に必要な材料、および膵蛭と小形膵蛭の種の独立性を検討する材料はおおむねそろったので、次年度前半にこれらを完了させ、まだ手つかずのmultiplex PCR法の開発および疫学調査を開始する。一方で、本年度に八重山諸島で駆虫試験の行える状況があったので、次年度予定の駆虫試験を前倒しで実施した。なお、本年度は、学会や雑誌での研究発表にも力を入れる予定である。
|
Research Products
(2 results)