2010 Fiscal Year Annual Research Report
イントロンの一次塩基配列に基づくヒトバベシア原虫及びその近縁種の進化解析法の開発
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22580352
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
石原 智明 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (90082172)
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Keywords | Babesia microti / 進化系統解析 / CCT7遺伝子 / イントロン / 輸血感染症 / 新興感染症 / バベシア症 / 人獣共通感染症 |
Research Abstract |
バベシア症の病原(Babesia microti原虫)はヨーロッパ、アジア、北米の野鼠に広く分布し、マダニの吸血を介してヒトに感染し時に致死的である。病原は種相当の4群からなり、日本には3種(Hobetsu, Kobe, U.S.)が居て、種内の遺伝的多様性もある(18SrRNA, β-tubulin, CCT7の遺伝子解析成績による)。予防対策では、輸血感染症防止のための不顕性感染者の摘発がとくに重要だが(米国は1抗原型原虫に抗体検査を実施)、本邦は種類が多く構成が複雑で的を絞ることが難しく検査に至っていない。本研究の目的は、近縁系統の遺伝的関係解明のためのマーカー開発し、解析結果を防御対策に活かすことである。マーカー候補はCCT7遺伝子中の6個のイントロンで、検証項目は(1)アライメント精度、(2)マーカー感度、(3)これを用いた原虫集団の遺伝的構造解明などである。本年度は、収集した27系統のB. microti原虫についてイントロン配列を決定し(1)、(2)を中心に検討した。その結果、イントロン長は亜種毎にほぼ一定で、MacVector10.5.のClustal Wでアライメント出来た。A+T比の近似性に基づくグルーピングパターン、一次塩基配列に基づく進化系統樹の樹系及び分岐順(258塩基長のイントロンは単独、19~23塩基長のそれは結合配列を使用)は、既報のβ-tubulin及びCCT7遺伝子のcording sequence結果と一致した。イントロンの塩基置換率は、18SrRNAとCCT7遺伝子のそれぞれ数十及び3倍で、高い解析精度が期待出来ることが解った。 今後は原虫株を増やして解析すると共に、進化系統解析及びpoint mutation或はindel(insertion/deletion)mutationの数や分布の比較から、集団の遺伝的構造の解明を行う予定である。
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Research Products
(1 results)