2010 Fiscal Year Annual Research Report
豚安寧フェロモンの作用機序の解明:脳内糖代謝、ホルモン動態、行動からのアプローチ
Project/Area Number |
22580355
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
入交 眞巳 北里大学, 獣医学部, 講師 (70453511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 智洋 北里大学, 獣医学部, 講師 (10433715)
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Keywords | 安寧フェロモン / ネコ / ブタ / 家畜福祉 / ストレス / 唾液中コルチゾール濃度 / PET / 脳の糖代謝 |
Research Abstract |
安寧フェロモンの効果に関して、本年度は供試動物として身近なネコをブタの代わりに用いて検証した。本年度はFeliwayという市販されているネコ安寧フェロモンを用いて実験を行った。ネコをFeliwayが噴霧されているケージに入れた状態でケージの戸を開け閉めするなどの軽度のストレスを与え、その際のネコの行動と血中コルチゾール濃度の変動を記録した。行動観察および血中コルチゾール濃度測定からFeliwayはネコの不安やストレスを軽減させる働きが見られないのではないかという事が示唆された。しかし、PET-CTを用いた脳の糖代謝をみる実験において、Feliwayを暴露したケージに入れて30分おいておいたネコの脳の糖代謝はFeliwayを噴霧していないケージに入れられた状態の時よりも低く、脳内のarousal(覚醒や興奮)をFeliwayが抑える働きがあるかもしれない事は示唆された。 ブタを用いた実験においては、4週齢子ブタを用いて耳標を打った際の痛みストレス負荷時の血中および唾液中コルチゾール濃度を測定した。当初の予定では血中コルチゾール濃度のみの変動をストレス指標として用いる予定であったが、過剰なストレスをかけることなく子ブタの血液採取を行うことが困難である事が判明したため、唾液中コルチゾール濃度をストレス指標として用いる事の可能性を探っていった。本年度はブタの飼育環境の違いが同じストレス負荷時における生体反応に違いを及ぼすかを血中コルチゾール濃度と唾液中コルチゾール濃度療法を測定し、検討した。環境要因は動物のストレス耐性に大きな影響を与える事が今回結果として得られたため、次年度の研究ではフェロモンの効果と動物を飼育する環境要因に注目、検討しながら研究を進めていく必要があると考える。
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