2012 Fiscal Year Annual Research Report
牛白血病発症牛におけるプロウイルス遺伝子の組込み部位とその変異に関する研究
Project/Area Number |
22580357
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
泉對 博 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10355167)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 遺伝子 / ウイルス / 癌 / 細胞・組織 / 獣医学 / 家畜衛生 / 伝染病 / 牛白血病 |
Research Abstract |
牛白血病ウイルス感染牛は、70%の個体は無症状(AL)であるが30%の個体では末梢血中のB細胞がポリクローナルに増殖する持続性リンパ球増多症(PL)を示す。そしてBLV感染牛の1~5%のみが数年の潜伏期を経て白血病を発症する。国内での本疾病発症数はこの数年間で急増し、年間1,000頭を超えている。レトロウイルス感染に起因する疾病ではプロウイルスの宿主ゲノム組込み位置が病態進行に関連していると考えられている。本研究ではBLVの各病態におけるBLV組込み位置を探索した。 BLV感染牛を末梢血白血球数から3頭のAL個体および4頭のPL個体に区分し、ゲノムDNAを抽出した。また、21頭のEBL個体については発症リンパ節を用いた。BLV組込み位置の解析は、5’LTR領域に隣接する宿主ゲノムをInverse PCRにより増幅し、シークエンスを行った。得られたシークエンス結果をBlast検索にかけ、牛ゲノム内のBLV組込み位置を決定した。繰り返し配列への組込みはRepeatMaskerを用いた。 BLVの組込み位置はすべての染色体に分布し、特定の染色体位置または遺伝子への集中はみられなかった。転写領域には少なく、3分の1程度のプロウイルスのみが転写領域に組込まれていた。さらに、転写開始領域では10%以下と少なく、40%以上のプロウイルスが転写開始領域から50kb以上の距離に位置していた。同様にCpGアイランド近傍への組込みは7%以下と低かった。これらの傾向はすべての病態に共通していた。次に塩基配列の特徴を解析すると、A/T率の高い位置およびLINE配列に有意に多くみられた。 これらの結果より、BLVプロウイルス組込み位置は特定の部位に集中しておらず、組込み位置と病態との関連性は低いと思われる。また、BLVはA/T率の高い配列を好み、組込みには一定の認識配列が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)