2010 Fiscal Year Annual Research Report
犬の慢性肝障害に対する自己骨髄細胞移植治療の基礎的研究
Project/Area Number |
22580361
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
谷 健二 山口大学, 農学部, 准教授 (00365420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 保穂 山口大学, 農学部, 教授 (80163153)
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Keywords | 再生医療 / 肝不全 |
Research Abstract |
「犬骨髄細胞の性状」 健常ビーグル犬骨髄から採取した接着細胞はCD44+、CD90+、CD90-細胞であり、マウス、ヒトで報告されている骨髄間質細胞(BMSC)の表現型と一致していることが確認できた。 「犬骨髄細胞のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)産生能」 犬BMSCはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を産生し、炎症性サイトカインによってMMP産生は増加することをmRNAおよびタンパクレベルで確認できた(投稿準備中)。慢性肝炎に対する自己BMSC移植の治療効果においてMMPの関与が示唆されており、犬BMSCはMMPを産生する有用な細胞源となる可能性を秘めていることが明らかになった。と同時に、この犬BMSCは肝細胞に分化する能力を有することも確認することができた。 「慢性肝炎マウスに対する犬骨髄細胞移植効果」 犬BMSCの移植効果を検索する一環で、マウス肝炎モデルを作成したところ、重症免疫不全マウスでは四塩化炭素に感受性が高く、慢性肝不全より重篤な劇症肝炎を呈し、死亡例が多かったため、T細胞のみ欠損した、ヌードマウスおよびICRマウスにシクロスポリンを与えた免疫不全ICRマウスを用いて、四塩化炭素誘導性慢性肝炎モデルを作成し、肝炎モデルを確立した。この慢性肝炎モデルに対して、脾臓を介して犬BMSCを移植し、治療効果を検討した。脾静脈は門脈に合流し、直接肝臓内に移植細胞が到達し、治療効果が高まることが期待された。今回の系では、全てのマウスは雌を用いた。雄犬にだけ存在するSRY遺伝子についてPCR検査で実施したところ、慢性肝炎を呈したマウス肝臓で犬由来DNAの検出が可能であった。しかしながら、トレサーを付けた移植細胞の細胞個別の可視化は判別が困難であった。また、門脈周囲に存在する移植細胞は必ずしもマウス肝細胞と隣接しているわけではなく、散在している所見が得られた。組織学的検索では、形成された肝線維化症の範囲は減少したことから、犬BMSC移植は慢性肝炎に対して、良化する効果を有し、BMSCは移植治療の有用な細胞源である可能性が示唆された。
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