2011 Fiscal Year Annual Research Report
イヌとウシの血中インスリン様ペプチド3の免疫測定法の確立と精巣機能検査への応用
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22580365
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川手 憲俊 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80221901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 尋通 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10155252)
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00137241)
高橋 正弘 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (50582334)
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Keywords | INSL3 / EIA法 / TR-FIA法 / 雄イヌ / 雄ウシ / 性成熟過程 / 精巣 |
Research Abstract |
本年度は、以下のような研究成果が得られた。 (1)雄ウシの出生から性成熟後までの血漿インスリン様ペプチド3(INSL3)動態の解明 昨年度に開発・確立したウシの血漿INSL3の酵素免疫測定(EIA)法を用いて、正常雄ウシの新生子から性成熟後までの発育過程にともなう血中動態を解析し、テストステロンのそれと比較した。その結果、雄子ウシの血中INSL3濃度は出生から3ヵ月齢まで増加するが、その増加率はテストステロンのそれよりも緩やかであることが示唆された。性成熟過程では、テストステロン濃度の上昇は性成熟期前半までにほぼ完了するのに対して、INSL3濃度は性成熟期の後半から増加が開始し、性成熟期以後も増加することが示唆された。 (2)イヌの血漿INSL3の時間分解蛍光免疫測定(TR-FIA)法の開発と雄イヌの性成熟過程および加齢に伴う同ホルモン動態の解明 イヌの血漿INSL3の時間分解蛍光免疫測定法を開発するとともに、雄イヌの性成熟過程および加齢に伴う血漿INSL3動態を解析し、テストステロン動態と比較した。イヌINSL3のスタンダードを用いて上記のTR-FIA法を実施したところ、良好な標準曲線がえられ、その最小検出濃度は0.02ng/mLで、50%結合抑制濃度は約0.4ng/mLであった。また、雄イヌの血漿INSL3濃度は性成熟前から性成熟期へ増加した後、性成熟後へ有意に減少し、その後高齢期まで顕著な変化はみられなかった。雄イヌの血漿テストステロン濃度は性成熟前から性成熟期へ有意に増加したが、性成熟期から高齢期まで顕著な変動はみられなかった。以上の結果から、雄イヌの血漿INSL3濃度は性成熟期に一過性に増加することが示され、テストステロン濃度の動態とは異なることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた(1)雄ウシの出生から性成熟後までの血中INSL3動態の解明、および(2)イヌの血中INSL3濃度の時間分解蛍光免疫測定法の開発と雄イヌの性成熟過程および加齢に伴う血中INSL3濃度の動態の解明の研究課題を遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は雄ウシおよび雄イヌの精巣疾患、特に潜在精巣の血中INSL3濃度を解析して、正常例との比較を行い、臨床診断等への応用の可能性について検討する。また、INSL3の精巣からのテストステロン分泌に及ぼす作用について培養精巣細胞を用いて検討する。
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Research Products
(8 results)