2010 Fiscal Year Annual Research Report
異担子菌酵母を宿主とする担子菌キノコ由来リグニン分解酵素の大量生産系の確立
Project/Area Number |
22580376
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
麻田 恭彦 香川大学, 農学部, 教授 (70151032)
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Keywords | リグニン分解酵素 / ラッカーゼ / 担子菌 / 異担子菌酵母 |
Research Abstract |
本研究の目的は、異担子菌酵母Rhodosporidium toruloidesを宿主に用いる遺伝子工学的手法により、担子菌キノコ由来のリグニン分解酵素を大量生産することである。初年度に当たる本年度では、以下の研究成果を得た。 1.担子菌キノコ由来のリグニン分解酵素の解析 食用担子菌キノコであるGrifola frondosa(マイタケ)がラッカーゼ(リグニン分解酵素の一種)を菌体外に分泌生産することを明らかとした。また、本酵素を均一に精製し、その諸性質の解析を行った。その結果、本酵素は広い基質特異性を示すことや、温度とpHに対する安定性に優れていることなどが明らかとなった。さらに本酵素は種々の合成色素の脱色活性や難分解性環境汚染物質であるビスフェノールAの分解活性を有することが判明した。以上の結果は、本酵素の応用面における高い有用性を示すものであり、次年度以降に行うリグニン分解酵素の遺伝子工学的大量生産実験における対象酵素に定めることとした。 2.異担子菌酵母R.toruloidesを対象とする形質転換ベクターの構築と形質転換法の検討 R.toruloidesを対象とする組込み型形質転換ベクター(pRS11、マーカー:カルボキシン耐性遺伝子)を構築し、本菌を宿主とする形質転換系の諸条件について検討を行った。その結果、ベクターを直鎖状にして用いる方がより高い形質転換効率が得られることが明らかとなった。また、ベクター導入法としてエレクトロポレーション法とプロトプラスト-PEG法を比較すると、前者の方がより高い形質転換効率が得られ、さらに形質転換株がコロニーとして出現するまでの培養日数が短いことが明らかとなった。この結果は、本菌の形質転換におけるエレクトロポレーション法の優位性を示すものである。
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