2011 Fiscal Year Annual Research Report
難分解性金属キレート剤を指標とした水環境汚染実態の解明
Project/Area Number |
22580383
|
Research Institution | Toyama Institute of Health |
Principal Investigator |
健名 智子 富山県衛生研究所, 化学部, 副主幹研究員 (60416089)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 修嗣 富山県衛生研究所, 主幹研究員 (70360807)
山本 敦 中部大学, 応用生物学部, 教授 (60360806)
藤島 裕典 富山県環境科学センター, 水質課, 主任研究員 (80393099)
|
Keywords | 金属キレート剤 / HPLC法 / 重金属 / 水環境汚染 |
Research Abstract |
これまでにアミノポリカルボン酸系金属キレート剤(APCAs)をその鉄錯体として逆相液体クロマトグラフ法(HPLC法)により一斉分析する法を開発し,さらに陰イオン交換固相カートリッジを用いる分離濃縮を組み合わせることにより,河川水中の微量APCAsの測定法を確立した。 本研究課題では,海水中のAPCAs測定の前処理方法を確立し,広く海水を含めた環境水中のAPCAsをHPLC法により測定し,水環境中のAPCAsの動態を解析することを目的とする。 昨年度は海水中エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の活性炭固相抽出-HPLC法による分析法を確立した。本年度は,その方法を富山湾の小矢部川河口付近の海水サンプルに適用し,これらの結果をまとめて,Analytica Chimica Acta誌に投稿した。 また本年度はジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)について活性炭固相カートリッジを用いる濃縮について検討した。DTPAはこれまでに開発した陰イオン交換固相抽出-HPLC法による河川水中の微量APCAsの測定法により,EDTAとともに河川水中での存在が確認されているAPCAsである。DTPAをあらかじめ鉄錯体としてカートリッジに吸着させ,塩酸含有メタノールを用いて溶出,これを濃縮乾固したのち移動相に溶解しHPLC法により分析したところ,Fe-DTPA溶出部にピークは見られず,Fe-DTPAより早い保持時間にピークが見られた。このピークについてLC-MS/MSにより解析を行ったところ,DTPAからカルボキシメチル基が1つ外れたものの鉄錯体のマススペクトルと一致した。そこで,このピークを用いて海水中のDTPAを分析する最適条件について検討し,海水中のDTPAを1.0nMまで定量する方法を確立した。この活性炭固相抽出-HPLC法は海水のみでなく河川水にも適用可能であり,広く海水を含めた環境水中のEDTAおよびDTPAを同時にHPLC法により測定することができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塩濃度の異なる様々な環境水(河川水・汽水・海水)中のEDTAおよびDTPAを同時に測定できる活性炭固相抽出-HPLC法を確立したことにより,この方法を実サンプルに適用し,環境水中のAPCAsの動態を解析することができると思われるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は,昨年度行った環境調査の結果に基づき選定した採水地点において,海水及び河川水のサンプリングを行い,活性炭固相抽出-HPLC法を用いて,海水及び河川水のEDTA,DTPAの測定を行う。また,重金属定量及びEDTAの金属種別定量も行い,得られたデータをもとに水環境中のAPCAsの動態を解析する。
|