2010 Fiscal Year Annual Research Report
Argonauteタンパク質MIWIとポリA鎖結合タンパク質による翻訳制御
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22580384
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柏原 真一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (00254318)
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Keywords | Argonauteタンパク質 / 精子形成 / ポリA鎖結合タンパク質 / 翻訳抑制 / MIWI / PAIP2 |
Research Abstract |
MIWI/PIWIL1は、精巣特異的Argonauteタンパク質のひとつであり、その欠損マウスでは精子形成が球状精細胞の段階で停止する。MIWIは、低分子RNAであるpiRNAを介して標的分子に作用すると考えられているが、その機能は不明であった。申請者らは以前に、MIWIがポリA鎖結合タンパク質PABPC1と直接相互作用することを報告した。PABPC1は翻訳調節因子であることから、MIWIは翻訳にかかわっているのではないかと仮定し、解析を行った。一方、精巣特異的なPABPC2は、PABPC1と異なり翻訳不活性なmRNP画分におもに存在することから、翻訳抑制的に働くことが考えられた。欠損マウスを作製し、その機能について検討した。 1.MIWIの機能解析・・・MIWIをバクテリオファージのλNペプチドとの融合タンパク質(λN-MIWI)として、またレポーター遺伝子としてλNペプチドが結合する部位であるBoxB配列6個をタンデムにホタルルシフェラーゼmRNAのORF下流に挿入した融合遺伝子(F-Luc-6BoxB)をHEK293T細胞で共発現させ、λNペプチドの有無によるルシフェラーゼ活性の変化を調べた。MIWIをレポーターRNAに強制的にリクルートさせた場合、AGOタンパク質と同様、その翻訳を抑制することが判明した。また、MIWIを構成する3つの主要ドメインに分割し解析を行ったところ、PABPC結合ドメインであるN末端ドメインとPIWIドメインの2ヵ所が翻訳抑制能を有することが明らかとなった。さらに、これら2つのドメインは翻訳抑制因子であるPAIP2とも直接結合することから、MIWIは標的mRNAにPAIP2をリクルートすることにより、翻訳を抑制することが推測された。このことは、AGOによる翻訳抑制に必須なエフェクター因子であるGW182/TNRC6にMIWIが結合しないこととも一致する。 2.PABPC2の機能解析・・・λN-PABPC2をF-Luc-6BoxBとともにHEK293T細胞に共発現させた場合、予想に反しレポーターRNAの翻訳を活性化した。実際、PABPC2はλNペプチドの有無にかかわらず、HEK293T細胞においてポリソーム画分にも存在した。PABPC2の機能を明確にするために、欠損マウスを作製したところ、その精子形成は野生型と同じように進行し、結果として正常に産仔を得ることができた。したがって、PABPC2は生体内において特別な機能は有していないことが考えられた。
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[Journal Article] Protein disulfide isomerase-PS, down-regulated in the final stage of boarepididymal sperm maturation, catalyzes disulfide formation to inhibit protein function in oxidative refolding of reduced denatured lysozyme.2010
Author(s)
Akama, K., Horikoshi, T., Sugiyama, A., Nakahata, S., Akitsu, A., Niwa, N., Intoh, A., Kakui, Y., Sugaya, M., Takei, K., Imaizumi, N., Sato, T., Matsumoto, R., Iwahashi, H., Kashiwabara, S., Baba, T., Nakamura, M., Toda, T.
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Journal Title
Biochimica et Biophysica Acta
Volume: 1804
Pages: 1272-1284
Peer Reviewed
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