2010 Fiscal Year Annual Research Report
窒素センサータンパク質P-IIによる抗酸化性アミノ酸シトルリンの代謝制御
Project/Area Number |
22580385
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
明石 欣也 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20314544)
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Keywords | シトルリン / 窒素代謝 / センサータンパク質 / P-II / 野生種スイカ / 抗酸化性 / アミノ酸 |
Research Abstract |
植物は、環境ストレスに暴露されていないときには、その体を構成する栄養元素、特に窒素資源の50%以上を、光合成関連タンパク質の合成に投資し、光合成による生長を維持している。それに対し、乾燥などの悪環境ストレスに暴露されると、下位葉での光合成タンパク質の分解が促進される一方、プロリンやシトルリンなど、窒素を高含有する適合溶質を上位葉に高蓄積させ、環境適応能の向上を図る。環境ストレスは植物の基本代謝を劇的に変化させるが、これら一連の代謝変動を統合的に制御する「司令塔」の実体は不明である。 乾燥強光ストレスに耐性を持つ野生種スイカは、ストレスに際してシトルリンを高蓄積させる。シトルリンはアルギニン代謝経路の中間体である。その12種の代謝酵素群のうち、経路のボトルネックであるAGK酵素は、ストレスに伴い活性が増加するだけでなく、アルギニンによるフィードバック阻害が解除される。このフィードバック阻害解除を担う因子として、炭素・窒素比(C/N)センサーであるP_<-II>タンパク質が関与することが示唆された。そこで本年度は、分子センサータンパク質P_<-II>が、抗酸化性に優れる適合溶質シトルリンの高蓄積にどのように関与するのかを解明するために、組換体タンパク質を用いて、P_<-II>タンパク質がAGK酵素の酵素学的諸性質に及ぼす影響を解析した。その結果、野生種スイカ由来のAGK酵素は通常は経路の最終産物であるアルギニンにより顕著なフィードバック阻害を受けるが、P_<-II>が共存する場合このフィードバック阻害が解除されることが判明した。この結果は、ストレス下で誘導されるP_<-II>タンパク質がシトルリン生合成の律速を解除し、シトルリンの高蓄積に貢献することを示唆する。
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Research Products
(7 results)