2011 Fiscal Year Annual Research Report
マダケ属の栄養生長モデルによる肥大および成熟制御機構の解明
Project/Area Number |
22580387
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
荻田 信二郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50363875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 康夫 富山県立大学, 工学部, 教授 (20254237)
岸本 崇生 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60312394)
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Keywords | 植物 / マダケ属 / 細胞・組織 / 分子育種 / 懸濁培養 / 代謝 / リグニン |
Research Abstract |
本研究は、温帯性竹類(phyllostachys マダケ属)の、春先「地下茎からの筍の肥大」、夏期「桿の伸長・成熟」を伴うダイナミックな栄養繁殖の制御機構を明らかにし、タケの高度利用基盤を構築することを目指す。 今年度はハチク培養細胞に加えてマダケ培養細胞の同調培養系を効率化し、格段に高い増殖性を示す培養条件を明らかにした。また、遺伝子導入に用いるベクターについて、従来用いられているpIG-121Hm(ハイグロマイシン/カナマイシン選抜)に加えて、変異型アセト乳酸合成酵素をコードする遺伝子(mALS)を用いたベクターを応用した非抗生物質薬剤による選抜が可能なことを示した。これにより、各種タケの培養細胞に複数の遺伝子を効率的に導入することが可能になり、分子生物学的解析の推進が期待できる(論文化)。実際に代謝改変や分化に関わる外来遺伝子を複数培養細胞に導入し、組換細胞株の樹立に成功した。当該培養細胞株の増殖特性や代謝産物の変動量などを解析し、成果を得つつある。また、ハチク培養細胞のリグニン蓄積モデルを用いて2週間以内に成竹と同等のリグニンを蓄積することに成功し、この系を用いた組織形態・代謝生理および遺伝子発現解析を進め、現在取りまとめている。さらにマダケ属(ハチク、モウソウチク、モウハイチク)およびササ類、熱帯性のタケ類について節培養を試み、幾つかの系統について無菌植物体の増殖および維持ができるようになった。これにより当初マダケ属で開始した本研究成果が他のタケ・ササ類にも応用可能な事が示された。一部の成果は国内外の植物関連大会で発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マダケおよびハチクの培養細胞モデルを樹立し、これらの高頻度組換技術も確立できた。これにより、当初困難であった細胞レベルの各種解析や評価が可能になったため。また節培養系についても安定した無菌植物体の確保が数種のタケについて可能になり、解析基盤が充実したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、野外サンプリングデータの収集および解析を継続すると共に、これまで確立した基盤技術を駆使してマダケ属の肥大と伸長メカニズムを明らかにしていく。また、培養細胞モデルは代謝機能改変などによる新規物質生産系に応用が可能であることが示されたので、目的化合物生産の応用事例を挙げるべく研究を進める。なお、同タケ培養細胞はタケ研究のバイオリソースとして理研BRCに寄託する計画である。さらに今後の展開のために、トランスクリプトーム解析などを進めると共に、主要な熱帯性タケであるBambusa属やDendrocalamus属についても基盤技術の確立を行いたい。
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