2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜内在性ファージを用いた膜貫通型受容体とリガンドの結合実験系の確立
Project/Area Number |
22580388
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
神田 宏美 北里大学, 理学部, 助教 (80234160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 准教授 (90240994)
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Keywords | 7回膜貫通型受容体 / リガンド / 融合タンパク質 / 異種生物発現系 / シグナル伝達 / 生体膜内在性ウイルス / 大腸菌 / スクリーニング |
Research Abstract |
本研究では、医薬品開発のターゲットとして注目されているリガンド不明なオーファンGPCRのリガンドのスクリーニング法の確立及び同定を目指し、宿主由来の生体膜を内包するバクテリオファージPR772のウイルス粒子産生機構を利用して、その生体膜中にリガンドが既知のGPCRを発現させ、RI標識リガンドあるいは組織抽出液と混合し、リガンドを単離する方法を構築することを目的とする。 既に、PR772のウイルス粒子形成に必要と考えられている4種のウイルス粒子構成タンパク質、メジャーキャプシドタンパク質P3、膜貫通タンパク質P16、マイナーキャプシドタンパク質P30、ペントンタンパク質P31にHisタグを付加したHis-P31を大腸菌で共発現させることにより、キャプシドの表面にHisタグが露出した生体膜をもつウイルス様粒子(His-VLP)を再構成し、大腸菌から精製することに成功している。そこで、この再構成系を基に、GPCRとP16との融合タンパク質を他の3種のウイルスタンパク質と大腸菌で共発現させることいにより、GPCRを内包したHis-VLPの再構成を試みた。既知のGPCRとしては、リガンド不明なGPCRが多く存在すると推定されているファミリー1aに属し、RI標識リガンドが入手可能な、13個のアミノ酸からなる脳腸ペプチドであるニューロテンシン(NT)をリガンドとするNTレセプター1(NTR1)を選んだ。まず、ラットの脳のcDNAから、NTR1の翻訳領域をPCRにより増幅し、単離した。次に、NTR1のN末にFLAGタグを付加させたFLAG-NTR1発現用プラスミドを構築して大腸菌に導入し、既に発現が確認されているP16との発現量を比較した。その結果、一般に、GPCRは発現しにくいことが知られているが、大腸菌BL21(DE3)において、P16とほぼ同レベルのFLAG-NTR1の発現が確認された。そこで、FLAG-NTR1のC末に、18アミノ酸残基以上のペプチドリンカーを介してP16を連結させた融合タンパク質発現用プラスミドを構築し、大腸菌に導入、発現誘導させ、現在、ペプチドリンカーの長さの検討を行っている。
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