2011 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法および質量分析法による糖鎖の構造解析とダイナミクス研究
Project/Area Number |
22590001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 宏子 千葉大学, 分析センター, 准教授 (60114245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荷堂 清香 (吉田 清香) 千葉大学, 分析センター, 技術職員 (10568439)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 質量分析 / 糖鎖構造 / ダイナミクス / ^<31>P-NMR |
Research Abstract |
哺乳動物のおける約150種類の蛋白質がGPI(Glycosyl Phosphatidyl Inositol)アンカーを介して細胞と結合し、生体制御、細胞間の情報伝達、ウィルスの受容体としての機能をもっている。これらの機能と構造関係を解明する一つの手段として、イノシトール、グルコサミン、マンノースの3個にホスファティディルエタノールアミンが結合したモデル化合物を共同研究者が合成した。この化合物でNMRの解析を始めたが、通常のDQF-COSY、HSQC、TOCSY法などでは約半分のシグナルしか帰属できなかった。SPT法は照射強度が弱く、最も選択制が優れた測定法であるが、これを新たに開発したDPFGSE-Double-SPT法など一次元NMRの測定法を使って、短時間で全て帰属した。さらに、^1H{^<31P> selective}差スペクトルによって、M1に結合した^<31>PとM1-H-2の問に7.3Hz、同じくH-3との間に3Hzのスピン結合定数が観測された。これは4ボンドのスピン結合定数としては大きい値であり、^<31>PとH-3がW字則の関係が示唆され、この部分の立体構造がかなり絞り込めた。この結果とROEの結果と併せて立体構造についても貴重な知見を得、学会発表を行った。生体内の糖タンパク質はNMRで必要な量を入手するのが困難である場合が多く、より高感度な測定法であるMSによる解析が試みられているが、糖鎖構造の迅速で高感度な解析手法はまだ確立されていない。そこで、糖鎖や糖タンパク質の構造解析手法を確立するための前段階として、NMRで構造決定されたオリゴ糖についてMSによる解析を行い、マススペクトルパターンと糖構造との関連について検討を行った。その結果、結合位置の異なるオリゴ糖のMS^nスペクトルパターンに有意差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NMRにおいては、新規測定法の開発や従来法による検討を詳細に行うことにより、今まで解析不能であった部分構造がかなり明らかになった。また、Ms^n測定でも、スペクトルパターンによる有意差が認められるなど今後につながる好結果が得られた。しかしながら、学会発表だけで論文投稿には至らなかった。本成果をまとめて投稿できるように、来年度は、さらに研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに化合物の量を増やして^<31>Pと^1HのNOE(HOESY法)を測定し、立体構造の詳細と計算による構造予測結果とを併せて、生体中における立体構造と機能についての研究をさらに進めて行く予定である。また異なるオリゴ糖や多糖のMS^nスペクトルの解析を行うことにより、マススペクトルパターンと糖構造との関連について、さらに検討を行う予定である。働
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Research Products
(4 results)