2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横島 聡 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (10376593)
|
Keywords | アルカロイド / 全合成 / ディールスアルダー反応 / アザプリンス反応 / アリルカチオン / シクロプロパン / 神経成長因子 / 環拡大反応 |
Research Abstract |
リコナジンAはLycopodium complantumから単離・構造決定されたアルカロイドである。NGF(神経成長因子)mRNA発現増強作用が見出されており、認知症予防や、糖尿病が原因となる末梢神経障害などの予防や治療などへの応用が期待される。また高度に縮環した五環性の骨格は有機合成化学者の注目を集めてきた。本年度はDiels-Alder反応および環拡大反応を鍵工程としたリコナジンAの効率的な全合成法を開発することを目的として研究を行った。プレゴンから数工程を経て文献既知法〔J.Org.Chem., 49, 2647(1984)〕にて合成可能なエノンとイソプレンのDiels-Alder反応を行った。本反応においては、ケトンα位の異性化が問題となったが、Overmannらにより開発された方法を用いることで異性化すること無く反応をおこなうことが可能であり、シスオクタリンを得た。続いてベンジルアミンを用いた還元的アミノ化により立体選択的に窒素原子の導入を行ったのち,酸性条件下ホルマリンと反応させることでアザプリンス反応を行い、三環性骨格を構築した。アザプリンス反応の結果移動した二重結合に対しジブロモシクロプロパン化を行ったところ、低収率ながら所望の化合物が得られた。このものを加熱したところ、二電子系の逆旋的な電子環状反応が進行し、生じたアリルカチオンが分子内の窒素原子で捕捉されることで、四環性化合物を得た。
|