2010 Fiscal Year Annual Research Report
枯渇危惧なレアメタルを用いない、高クラーク数元素を用いる触媒的合成反応の開発
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22590008
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
近藤 和弘 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (90277343)
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Keywords | クラーク数 / アリール化 / 1,2-付加 / 触媒的不斉反応 / アルデヒド / ニッケル / ホウ素 / ヒドロシリル化 |
Research Abstract |
アリール化試薬を用いた芳香族アルデヒドの触媒的不斉アリール化反応は、光学活性2級アルコールを合成するために用いられる最も有用な反応のひとつである。最近、申請者のグループは、アリールホウ素試薬とロジウムまたはパラジウムの組み合わせによる不斉アリール化を報告している。しかしながら、現代有機合成の観点より、高いクラーク数元素により構成される触媒および試薬の使用が望ましい。 申請者は、日本近海に豊富に存在しており、さらに、より高いクラーク数のニッケル触媒を用いた芳香族アルデヒドの不斉アリール化に成功した(最高不斉収率99%)。成功の鍵は、以下のふたつである。i)ortho-Me_2PhSi基を芳香族アルデヒドに導入した立体チューニング。ii)アリールソースとして、アリールホウ素試薬類の中では求核性の高いpotassium1-aryl-4-methyl-2,6,7-trioxa-1-boranuidabicyclo[2.2.2]octane類の使用。 高いクラーク数元素を用いた合成反応を志したのは以下のような考えからである。高クラーク数元素は引き的安価で、埋蔵量も多い。経済性および環境調和という、いわゆる「エコフレンドリー」がキーワードとなっている昨今、最近の各国の低クラーク数なレアメタルなどの資源争奪戦が激化するなか、日本という資源に乏しい国の研究者は高いクラーク数の元素に着目すべきである。
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