2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物糖転移酵素を利用した機能性化合物の糖鎖構築と消化管吸収性の改善
Project/Area Number |
22590009
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水上 元 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30128219)
|
Keywords | 二次代謝糖転移酵素 / 酵素合成 / 配糖体 / 生物転換 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き種々の遺伝資源植物から特に糖鎖伸長酵素に重点を置いてクローニングを実施し、その触媒機能を解析した。また、酵素合成法によって生産したquercetinの2糖配糖体を用いて、その消化管吸収特性の検討に着手した。 (1)クチナシからアポカロテノイド配糖体の糖鎖伸長反応を触媒する糖転移酵素UGT94E5の単離に初めて成功し、その機能を詳細に解析した。本酵素と昨年度の研究によって単離していたUGT75L6を組み合わせて用いることにより、アポカロテノイドアグリコンからクチナシおよびサフランの黄色色素で有用性の高いcrocinを大量に得ることが可能になった(FEBS Letters 586 : 1055-1061)。 (2)ハマボウフウから、プレニルクマリンとしてユニークな構造を持つoestol配糖体の糖鎖伸長酵素の単離に成功した。Oestolには種々の生理活性が知られており、その配糖体生産が可能になることにより、消化管吸収性の比較検討の基盤が形成された。 (3)すでに報告しているone pot-two enzyme system(FEBS Letters 581 : 2562-2566)を用いることにより、quercetin7, 4'-diglucosideの大量生産システムを確立した。この方法を用いて生産したquercetin7, 4'-diglucosideの消化管吸収についてラットを用いた検討を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標とした、(1)糖鎖伸長酵素の単離、(2)有用配糖体の酵素合成、(3)糖鎖を構築した機能性化合物の消化管吸収特性の検討開始、の3点をいずれも達成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果によって得られた配糖化酵素、糖鎖伸長酵素を用いて種々の機能性化合物の糖鎖を構築し、その消化管吸収特性を解析することによって、糖鎖構造と消化管吸収特性の関係を解明するという当初の目標を達成する。
|