2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590016
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
榛澤 雄二 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (10096688)
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Keywords | 有機合成 / ジルコノセン / 触媒 / 複素環 / ライセルト型反応 / 求核反応 / エナンチオ選択性 / 超原子価ヨウ素 |
Research Abstract |
有機化学分野において基本的かつ非常に重要な炭素一炭素結合形成反応の新規反応の開発を目的として、求核性の乏しいジルコノセン錯体を求核種として利用する触媒反応の検討を行ってきている。特に、申請者が明らかにしてきている遷移金属触媒および不斉配位子を選択することによるエナンチオ選択的炭素-炭素結合形成反応は、有機ジルコノセン錯体の求核試薬としての有用性を示す一例である。 23年度においては 1.有機ジルコノセン錯体の中でもアルケニル基供与体となるアルケニルジルコノセン錯体が含窒素芳香族複素環化合物とライセルト型反応条件下、効率よく位置選択的に求核的アルケニル化が進行することを明らかにした。特に溶媒効果による位置選択性の逆転などの特徴を明らかにし報告した。3,4-ジヒドロイソキノリンにBronsted酸存在下、アシルジルコノセン錯体を反応させると炭素-炭素結合形成反応は生起せず、窒素アシル化体が得られD_2Oによる後処理をすると1-位に重水素が導入され、その反応機構の解明のための実験を行い、学会にて発表した。 2.有機ジルコノセン錯体による上記ライセルト型反応のエナンチオ選択的反応を遂行するための銅触媒について検討した。さらに、これら不斉反応に利用できる種々新規不斉配位子の合成を目的として、光学活性なビスオキサゾール誘導体のアミノ酸誘導体からの合成について検討した。 3.2に記載したビスオキサゾール有機ジルコノセン錯体の反応と関係して、超原子価ヨウ素試薬を利用するオキサゾール骨格を含む各種複素環の新規構築法について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機合成におけるジルコノセン錯体の低求核性の克服は時間を要したが、金属触媒あるいはBronsted酸の利用により一定の成果を上げたと考えている。ただし、予期しなかった反応結果に関する反応機構の解析には時間を要している。したがって、研究計画としてはおおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
アシルジルコノセン錯体を用いた時に生起する異常反応につき、重水素化合物を用いる実験を行い反応機構の解析を行う。それらの結果を踏まえ、さらに効率の良いジルコノセン錯体の求核種としての有機合成への利用を模索する。また、不斉合成については十分満足のいく結果が得られたわけではなく、今後更なる不斉触媒配位子の検討をする。
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