2011 Fiscal Year Annual Research Report
特異な縮環トロパン構造を有する抗腫瘍性天然物ヘデラシンの全合成研究
Project/Area Number |
22590020
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (30212385)
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Keywords | 合成化学 / 天然物合成 |
Research Abstract |
ヘデラシンA及びBは、トロパンとシクロペンタンが融合した新規1-アザトリシクロ[6.2.1.02,6]ウンデカンを共通母格とする構造を有する抗腫瘍性アルカロイドである。両アルカロイドの合成経路の開発を目指して、既に、アリルシアナートの[3,3]シグマトロピー転位とエンイン閉環メタセシスを鍵反応として4-アミノ置換-3a,8a-ジメチルアズレンを合成し、さらにフラノン環の形成とC12位の選択的酸化を経た後、C5位アミノ基とC12位間の渡環反応について検討を行い、低収率ながらヘデラシン骨格を構築する経路を見出だしている。 当該年度では引き続き、C5位アミノ基とC12位間の渡環反応によるトロパン骨格の構築の収率改善を目指した反応条件の最適化と、シクロペンタン環C-9位へのアミノ基導入について種々検討した。その結果、フラノン環をシロキシフラン誘導体に導き、低温でジメチルジオキシランを作用させる穏和な酸化条件を適用することによりγ-ヒドロキシブテノリドに変換し、本化合物にトリフルオロ酢酸を作用させたところ、カルバメート基及びC9位ジオキソラン保護基の脱離とともに、渡環反応によるヘミアセタール形成が一挙に進行し、アザトリシクロ[6.2.1.0]ウンデカン誘導体を高収率で得ることに成功した。また、その立体構造をX線結晶構造解析により確認することができた。ヘデラシン全合成に向けての残る課題はC9位へのアミノ基の導入のみであるが、還元的アミノ化反応などによる直接的なアミノ基導入は困難だった。そこで、オキシムを経由してイミンへと導き、BH_3・THFを用いてアミノ基に還元することにより9-epi-ヘデラシンBの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヘデラシンA及びBの合成には至らなかったが、重要合成中間体であるアザトリシクロ[6.2.1.0]ウンデカン誘導体の効率的合成経路を確率することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アザトリシクロ[6.2.1.0]ウンデカン中間体のシクロペンタン環C9位への立体選択的アミノ基導入は、C9位周辺の立体障害により難航している。さらに反応条件の検討を進めるとともに、今後は合成経路を一部変更し、トロパン環形成の前段階においてC9位へアミノ基を導入した後にアザトリシクロ[6.2.1.0]ウンデカン骨格を構築する経路についても検討する。
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