2011 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムカルベノイドの化学を基盤とする分子構築の新手法開発
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22590021
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐藤 毅 東京理科大学, 理学部, 教授 (20089329)
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Keywords | カルベン / カルベノイド / マグネシウムカルベノイド / 有機マグネシウム / スルホキシド / 挿入反応 / 不斉合成 / 有機合成化学 |
Research Abstract |
α-クロロアルキルあるいはα-クロロビニルトリルスルホキシド類とグリニヤール試薬との反応により、スルホキシド-マグネシウム交換反応を経由して様々なマグネシウムカルベノイドが収率良く生成する事を見出している。このマグネシウムカルベノイドの示す様々な新規な反応性を捕らえ、有機分子構築法を開拓する新規な方法の開発研究を企画検討し、平成23年度には以下に示す多数の興味深い新反応を開発する事に成功した。 (1)シクロプロピルマグネシウムカルベノイドの1,5-CH挿入反応による3-oxabicyclo[3.1.0]-hexane類の新規合成法並びに不斉合成法を開拓した。 (2)マグネシウムカルベノイドの分子内アルキル化反応並びにアリール基の1,3-CC挿入反応によるシアノシクロプロパン類の新規合成法を見出し報告した。 (3)シクロブチルマグネシウムカルベノイドと求核剤との反応で様々なシクロブタン化合物を合成する新手法を開発した。 (4)カルボニル化合物とシクロプロピルマグネシウムカルベノイドとの反応でカルボニル炭素とα-炭素との間にシクロプロピル基を挿入する新反応を見出した。 (5)ケトンやアルデヒドを出発原料とする共役エンイン類の新規合成法を見出した。 (6)1-クロロビニルトリルスルホキシドとリチウムアセチリドの反応により、一気に2つの炭素-炭素結合を伴い共役エンジイン類が生成することを見出した。その他。 以上の様に本研究は従来知られていなかったマグネシウムカルベノイドの様々な性質や反応性について明らかにし、今までに無い多くの新反応を見出すなど極めて意義深いものであり、現在鋭意検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の交付申請書に記載した研究実施計画6項目は、すべて達成し殆んどの研究成果は投稿論文として発表した。この研究実施計画を遂行する過程で予想外の新しい反応が複数見出された。これ等は、新たな研究テーマとして既に検討を開始しており、課題研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
有機合成化学において最も困難な反応の一つとして、不活性な炭素と炭素-炭素結合を作る(C-H活性化反応)が挙げられる。マグネシウムカルベノイドの化学の研究を遂行中に、このC-H活性化反応の一種である1,3-および1,5-CH挿入反応がみいだされた。現在の有機合成化学の分野で最も注目されているこの挿入反応を本研究課題の中心研究として行なう計画をたてている。
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Research Products
(4 results)