2011 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠調節物質オキシピナタニンの作用メカニズムの解明
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22590025
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
小西 天二 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (70102366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 憲夫 同志社女子大学, 薬学部, 准教授 (90377268)
小川 優子 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (00454497)
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Keywords | オキシピナタニン / 睡眠調節物質 / アミノ酸誘導体 |
Research Abstract |
1)アキノワスレグサの葉からオキシピナタニン類縁化合物の分離を行い,5種類の新規類縁化合物を単離し,各種分析機器を駆使して構造を解明した. アキノワスレグサから多数の類縁化合物が単離されたこと,および別途研究によりアキノワスレグサはアミノ酸含量が極端に少なく,オキシピナタニンが高含量含まれていることと,オキシピナタニンが植物休眠期に多く,成長期には減少する事を明らかとした.これらのことからオキシピナタニンを含めこれら類縁化合物が植物体内でどのような生理的目的を持っているか,検討する必要がある. 2)オキシピナタニンの合成ルートにおいて,五員環とグルタミンあるいはグルタミン酸部分との結合の合成方法に成功した.しかし,目的物の収率がかなり低く,さらに収率を上げる方法を検討する事が必要である.本化合物の効率的な合成方法が成功すれば,オキシピナタニンなどのラベル化合物を使用した体内動態が詳しく検討できる. 3)今年度の研究において単離したオキシピナタニン類縁化合物の睡眠作用を,睡眠バイオアッセイ装置を用い検討した.その結果,数種類にオキシピナタニンと同程度の効果が認められた. 単離したオキシピナタニン類縁化合物は,量的に非常に少量である.そのために,オキシピナタニンを用いて睡眠作用メカニズムの解明を検討した.まず,体内での安定性について検討した.人工胃液,人工腸液での安定性を検討したところ,ほとんど変化は認められなかった.また,血中濃度については,マウスを用いて検討し,オキシピナタニンの経口投与後1時間で最大濃度なり,徐々に減少することが明らかとなった. 今後,肝臓での代謝などを検討することと,ラベル化合物の使用が可能となれば,脳内でのメカニズムが解明できる可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
オキシピナタニンの有機合成が,予想に反して困難であり,なかなか進展しなかった.現在合成に成功はしたが,反応生成物の収率が非常に低いため,新たなルートを検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
安定同位体含有のオキシピナタニンを用いて,体内動態を検討するはずであったが,当初予定の合成が非常に難航しており,オキシピナタニンの体内動態の検討が進んでいない.そこで,植物組織培養を用いて,安定同位体含有オキシピナタニンの生合成に取り組んでいる.今のところ,組織培養条件検討の段階であるが,可能性はあると推測している.別途,体内動態を調べるあらたな方法を検討中である. また,アキノワスレグサに含有されるオキシピナタニン量が,季節により変動することが判明した.そこで,オキシピナタニンの季節変動について検討し,さらに植物内における役割についても検討を始めた.
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